Apple Watchの睡眠トラッカーに表示される「コア睡眠」とは?
一般的に用いられる、睡眠段階の定義
話を戻して、Appleが睡眠段階の名称変更をはじめる前に、睡眠段階に関して既に知られていたことを考えてみましょう。 脳波で読み取れる脳波パターンに基づく現在の科学的理解には、次のような段階があります。 ・ノンレム段階1(N1)N1は数分しか続きません。呼吸は正常です。身体はリラックスし始め、脳波は起きているときとは違ってきます。N1は「軽い」睡眠の一部と考えられます。 ・ノンレム段階2(N2)通常「軽い」睡眠とされるN2は、睡眠時間の約半分を占めています。この段階では、睡眠紡錘と呼ばれる脳活動のスパイクや、K複合体と呼ばれる特徴的な脳波パターンが見られます(これらは前述のAppleの文書に記載されています)。 この睡眠段階で人間は記憶を定着させていると考えられています。睡眠中に歯ぎしりをするときはたいていこの段階にあるようです。 ・ノンレム段階3(N3)N3は「深い」睡眠と呼ばれることが多く、一晩の約4分の1を占めています。脳波がもっともゆっくりになり、「徐波睡眠」と呼ばれることもあります。 この段階にある人を起こすのは難しく、無理に起こしてもしばらくはグッタリしてしまいます。この段階では、筋肉の回復、子どもの骨の成長、免疫システムの強化など、身体の修復が最も起こりやすくなります。 年齢を重ねるにつれ、N3の時間は短くなり、N2の時間が長くなります。(以前は、もっとも深い眠りをノンレム睡眠の段階4と呼び、独立した段階に分類することもありましたが、現在では段階3の一部とみなされています。) ・レム睡眠レム睡眠という名称は、急速眼球運動(Rapid Eye Movement)が起こることに由来しています。眼球と呼吸筋を除いて、身体は一時的に麻痺します。夢を見る睡眠段階としてよく知られています(ただし、夢は他の段階でも見ることができます)。 レム睡眠中の脳波は覚醒時の脳波と非常によく似ているため、睡眠トラッキングアプリの中には、レム睡眠のブロックをグラフの一番上、覚醒時に近い位置に表示するものもあります。 人間は通常、ほかの段階を経ないとレム睡眠に入らず、一晩中これらの段階を繰り返しています。通常、レム睡眠は夜のはじめのうちはかなり短く、サイクルが進むごとに長くなります。