【40代・50代ご用心!「痔」はお尻の生活習慣病②】軽度のいぼ痔は誰でも持っているって、知っていますか?
●痔核 Ⅱ度 うっ血した痔核が排便時に肛門の外に飛び出してくることがあるが、排便後には自然に戻る。そのため、この時点でも気づいていないことが多い。
●痔核 Ⅲ度 肛門から内痔核が飛び出してくることに気づくが、指で押し込むと肛門の内側に戻すことができる。肛門外へ脱出する頻度が多くなると、ときに随伴裂肛(ずいはんれっこう)という痔核の根本にできる裂肛で、強い痛みが出ることもある。
●痔核 Ⅳ度 内痔核が常に肛門の外に飛び出したまま。指で押し込んでも戻らなくなってきた段階。常に痔核が脱出しているため、下着とこすれて出血しやすく痛みを伴うこともある。
「痔かも」と思ったら、市販薬は使ってもいいの?
排便時に肛門が切れたときや、肛門のあたりがうっ血して「痔核かも」と思ったとき、市販の軟膏を使うこと自体は問題ない。ただ、自己判断で長期間使用するのは避けよう。 「市販の軟膏の中には、炎症を抑える働きのあるステロイドを含んでいるものもあり、ステロイドは長期にわたって使用すると副作用を生じる心配があります。私たち医師が軟膏を処方するときも、使用期間は最長1カ月です。ですから市販薬を使用する場合も、1カ月以内にとどめる分には副作用の心配はないと思います」 容器に記載された使用期限内なら、ずっと使っても問題ないのかな? と思ってしまいがちだが、高橋先生によれば、「また腫れちゃったから」と市販薬をダラダラと使い続けるのはよくないそうだ。 「もしも腫れや出血などの症状が改善しないとき、いったんおさまっていた症状がぶり返したときには肛門科や消化器外科を受診して、医師にチェックしてもらいましょう。なぜなら『実は大腸がんだった』というケースもあるからです。特に『便器が真っ赤になるほどの出血』がみられたときには、市販薬を使用するよりも早めに受診してください」
【教えてくれたのは】 高橋知子さん 亀田総合病院消化器外科部長。東京女子医科大学卒業。亀田京橋クリニックにて、全国でも珍しい直陽と肛門の疾患に特化した「女性のためのこう門・おつうじ外来」を担当。専門分野は肛門疾患、排便機能障害、分娩後骨盤底障害。女性たちの便秘や痔、便失禁、直腸脱などのトラブルに対して、専門的な治療とともに生活指導を行っている。 イラスト/内藤しなこ 取材・原文/大石久恵