「R-18イラストばっかり」「マクドナルドはもらい事故」 「いまだけダブチ」キャラ絵が、“性的な2次創作”の餌食に…それでもキャンペーンが失敗とは言えない理由
■SNSの世界では細かい予測は不可能 今回の件で思い出したのは、アメリカのマイクロソフトが2016年に公開したAIチャットボット「Tay」の顛末である。Tayは19歳のアメリカ人女性という設定で、Twitter上でのユーザーとのやり取りから発言が生成される仕組みになっていた。 ところが、フェミニスト嫌悪や人種差別的な発言を繰り返したことにより、公開から16時間後に停止されてしまった。このような事態を招いたのは、一部のTwitterユーザーにより、Tayが不適切発言を連発するように操作されてしまったことによる。
技術は中立的なものだったが、性善説に基づいて運用してきたことが仇になってしまい、悪用されてしまったのだ。 マクドナルドの件に話を戻すと、「こうなること(性的なイラストが多数拡散されること)が事前に予想できなかったのか?」という意見もあるだろう。 SNSの世界では、ある程度の予想はできても、細かいところまで予測することは不可能だ。このたびの状況も、結果的には起きてしまったのだが、起きなかった可能性もあるように思う。予測不能なのがSNSの世界だ。
一方で、すべてのリスクを排除しようと思うと、効果も見込みづらくなる。同社では今夏にもAIで生成した動画が炎上したが、全体として見れば批判や炎上を巧みに回避しながら、効果の高い情報発信ができているように思う。 今回の件も、マクドナルドに非があるとは思わないが、今後、こうしたトラブルを回避するためには、「萌え」から一切手を引くということ以外にはないだろう。 【写真を見る】露出が高い? 「性的な2次創作」が多発したマクドナルドのキャラクターと「過去炎上した女性キャラクター」たち(6枚)
西山 守 : マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授