柿谷、本田、香川の美しい融合
至高のコンビネーション
融合。もしくはハーモニー。なんと表現すればいいのか。 FW柿谷曜一朗(セレッソ大阪)が、MF本田圭佑(CSKAモスクワ)、FW香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)の両エースと“幸福な関係”を結ぶ。グアテマラ代表と対戦した2013年9月6日は、柿谷が、慣れ親しむ長居スタジアムのピッチで、本田、香川との3人で初めて至高のコンビネーションを見せた記念日となった。1点のリードで迎えた後半21分だった。 DF長友佑都からのパスを、本田がダイレクトの浮き球のパスで左サイドに張っていた香川に通す。香川はボールの落下点に走り込みながら、右足のアウトサイドを合わせて再びダイレクトでゴール前へ折り返す離れ業を演じる。 ターゲットとなったのは柿谷。左足でトラップして、素早く反転して右後方へパスを流す。以心伝心で走り込んできたのは本田。左足からの強烈なシュートは相手GKに防がれたが、美しすぎるハーモニーは4万6000人を超える大観衆のため息を誘った。 そのわずか2分後。後半23分にまた彼らは奏でた。MF遠藤保仁(ガンバ大阪)からの縦パスを受けた本田が、相手ゴール前のほぼ中央にいる香川へ短いパスを入れる。相手に囲まれながらボールをキープする香川の動きが、柿谷へのメッセージとなる。 「パスがくると思いました」 目を合わさずとも分かった。あうんの呼吸で香川からのヒール気味のパスを受けた柿谷だったが、シュートコースに相手DFが入られていることを瞬時に察知。右サイドをフリーで攻め上がってきたFW工藤壮人(柏レイソル)へのスルーパスに切り替える。 工藤のシュートは再び相手GKに防がれたが、獲得した右CKから工藤のゴールが生まれた。本田や香川らの常連組と待望の融合を果たしたシーンにも柿谷は満足していなかった。 「ああいうプレーは代表の試合を見ていて数多くあったので、その中に自分が入った時には、ピッチの中でどう絡めるのかというのはあった。ああいうプレーは、強豪国とやったら1試合に1回あるかないか。だからより正確にしなきゃいけないし、プレーの質としてはそのままゴールにつながっていない。今日の相手にできばければ世界相手にはできない。練習時間は限られているけど、その中でしっかりと合わせてられるようにしていきたい」