柿谷、本田、香川の美しい融合
もっと貪欲に
ワントップの先発に指名されたのはFW大迫勇也(鹿島アントラーズ)だった。 両チームともに無得点のまま時間が流れる中で、柿谷は同じくベンチスタートとなった本田とアップを繰り返しながら、出場機会が訪れるはずの後半への青写真を描いていた。 「本田さんとは『相手が引いていたのに、綺麗に崩そうとしている』という話をしていた。もっと奪った時にゴール前に積極的に飛び込んでいくとか、もっと貪欲にいこうと。点を取れるだけ取ろうと」 後半開始から、大歓声を背に受けながら本田とともにピッチに投入された。心掛けたのは、ザックジャパンのワントップに求められる動き。任務を遂行した上で、自分の色を出すことを試みた。 「相手のディフェンスラインを下げて、バイタルエリアを空ける。なのでサイドに流れることなく、真ん中のスペースを作るのが一番大事だと思っているし、それをやりつつ相手の最終ラインの背後のスペースを狙う。もっとも、背後は相手も警戒していたので、狙いにくかったですけどね(笑)」 柿谷は国内組だけで編成された7月の東アジアカップで得点王という結果を残し、8月のウルグアイ代表との国際親善試合でワントップとして先発。後半19分まで本田とともにプレーした。 この日のグアテマラ戦の45分間を合わせて、不動のトップ下と通じ合える手応えを得られたのか。 「いつもみたいにボールをもらって、前を向いて仕掛けてというのはいつでもできる。そうじゃなくて、周りとの連携の面が大事だと自分の中で割り切りながら、動き出しだったり、もらうタイミングを自分の中で意識していた」 殊勝に振り返る柿谷を、誰よりも評価していたのが本田だった。 試合後の取材エリアとなるミックスゾーン。グアテマラ戦へ向けた合宿が始まった2日以降、初めてメディアの取材に応じた本田は、「ようやく、こういうタイプのワントップが出てきたという感じがする」と柿谷の存在を称賛した。 「点こそ取れませんでしたけど、非常にボールが収まる。今までの日本代表のFWって割と両極端だったというか、でかくても足元を得意としないプレーヤーや、逆にすごく足元が上手くても前で得点という数字を挙げられなかったりとか。そのへんは、曜一朗はすべてを兼ね備えているんじゃないかと」 でかくても足元と得意としないプレーヤーとはハーフナー・マイク(フィテッセ)であり、足元が上手くても前で得点を挙げられないのは、黒子に徹する意識が強い前田遼一(ジュビロ磐田)となるのだろうか。