なぜLUUPはここまで普及した? その理由を取材で訊いてきた!【次世代モビリティ最前線! Vol.2】
自動車ライター大音安弘が、今みんなが気になる次世代モビリティの開発背景やモビリティの魅力に迫る連載。第2回目は、Luup社の「電動キックボード」を紹介する。ところで、Luupは電動キックボードメーカーじゃないって知ってた? 【写真】Luupが考える未来の4輪電動マイクロモビリティがこちら!
Luup誕生のきっかけは、介護士の交通インフラ不足?
2023年7月1日に施行された改正道路交通法により、特定小型原動機付自転車に属する短距離モビリティの活躍が拡大している。その普及を後押ししているのが、電動キックボードのシェアリングサービスだ。今回は、緑と白のコントラストが印象的な電動キックボードを扱ったサービス「LUUP(ループ)」(以下、Luupは社名、LUUPはサービス名として表記)を紹介する。 Luupは、2018年に創業したスタートアップ企業だ。電動キックボードのシェアリングサービスのイメージが強いが、サービスそのものは、2020年5月から電動アシスト自転車よりスタート。2021年4月より電動キックボードを導入している。同社のシェアリングサービスの狙いは、「街じゅうの“駅前化”」だ。 一見、交通インフラが充実している都市圏でも、アクセスの悪いエリアは存在する。そこでLUUPの駅となる「ポート」を多く設置し、その間を短距離モビリティで結ぶようインフラを整備することで、街中に生まれる移動の不便さを解消しようとしているのだ。 そもそもLuup誕生のきっかけは、創業者である岡井大輝さんの祖母が、介護が必要な状態であったことからだった。そこで介護士不足の現状を知り、要介護者と様々な事情でフルタイムではなく、スポット的に働きたい介護士をマッチングするサービスの構築を目指していたが、その介護士自身の移動に適した交通インフラがないことで事業化を断念。今後の人口減少での影響が懸念させる日本の交通インフラ課題に立ち向かう「電動マイクロモビリィのシェアリング事業」の立ち上げへと繋がった。だからこそ、Luupは「電動・小型・一人乗り」という手軽な個人向けのモビリティを提供しているのだ。 電動キックボードを主体としている理由は、その利便性が評価され、先進国でのルール整備と普及が進んでいることが大きいとする。ただ日本では電動キックボードが原動機付自転車に分類されたため、その交通法規が公道走行に最適とはいえない現実があった。そこでキックボードに適した法整備が必要と考え、まずはシェアサービス事業を電動アシスト自転車から開始。それと並行し、電動キックボードに適した法制化の策定と施行に向けて、政府への働きかけを一本化。 具体的な動きとして、マイクロモビリィの普及の環境作りの為に、2019年5月に、同業他社と共に「マイクロモビリティ推進協議会」を立ち上げ、電動キックボードに関わる企業が協力することで、政府への働きを一本化。さらに法制化の検討に必要なデータの収集を目的に、2019年6月より私有地での実証実験を開始。私有地での実証実験の結果を基に、新規事業特例制度を用いて、2020年10月~2021年3月までの原動機付自転車扱いとした公道での実証実験、2021年4月~2023年6月までの小型特殊自動車扱いの公道での実証実験を実現させた。 それを一部参考に法制化されたのが、最高速度20km/h以下となる特定小型原動機付自転車と最高速度6km/h以下となる特例特定小型原動機付自転車という車両区分なのだ。