なぜLUUPはここまで普及した? その理由を取材で訊いてきた!【次世代モビリティ最前線! Vol.2】
ちょっとしたスペースに設置できる「ポート」がサービスの核だ!
LUUPシェアサービスの肝となるのは、「ハブとなるポート」の存在で、その設置エリアと数が利便性を大きく左右する。そのため、街中に溶け込みやすいスマートさを重視しているという。ポート設置は、モビリティを安全に駐車できるスペースがあれば問題なし。設置もアイコンとなるグリーンのテープで駐輪スペースを囲うだけ。設置場所を示すのは、小さな立て看板とLUUPのモビリティのみというシンプルさ。車両管理も、車載通信機を用いて遠隔で行うことで、管理に必要な人員を最小化。スタッフが、モビリティと接するのは、基本的にはバッテリー交換とメンテナンス時の回収と配備のみとしている。 最大の課題である交通安全については、利用者のアプリ上での交通ルールテストによる教育に加え、サービス提供を行う地域での安全運転講習会も実施している。もちろん、もしもの事故に備え、対人対物保険にも標準付帯している。 さらに新たな取り組みとして、3月18日にスマートフォン向けナビアプリを提供する「ナビタイムジャパン」と協力し、ナビ機能の試験提供も始めることを発表した。これは目的地となるポートに向かう際、電動キックボードと電動アシスト自転車の走り易い推奨ルートを表示することで、安全な運転をサポートするものだ。 LUUPは、鉄道やバスといった身近な交通インフラよりも、より身近な交通インフラを目指している。このため、人の多い都市部だけでなく、自由な移動手段が求められる観光地でも、その利便性に注目が集まる。都市部のとあるカフェでは、ポートを設置したことで、集客に繋がった例もあるという。将来的にLUUPのポートを設けた公共施設や集合住宅、地域の価値を高めることに繋がればと意気込みを見せる。 そして、次なる課題として、電動キックボードではカバーできない高齢者や障碍者でも使いやすいモビリティの提供の実現にも意欲的に取り組んでいくという。まだ現時点では、サービス提供エリアが限定されるLUUPだが、そのシステム自体は場所を選ばないものなので、提供車両を含め、地域に適したカスタマイズを施せば、最も身近な交通インフラとして成長していくだろう。今後の課題は、他社を含めた電動キックボードの普及が高まった場合、道路交通にいかなる影響を与えるかだろう。その取り組みは、まだ始まったばかりだ。
文=大音安弘