スイスの元プライベートバンカー「1ドル300円の可能性」…日本の財政破綻リスクを警告「考えたくない恐ろしい出来事ですが…」
1ドル300円の未来がやってくる可能性
2つ目は円安です。2022年以降に海外旅行に行かれた方ならよくおわかりでしょう。2021年まで海外に行ったときよりたくさん費用がかかったと思います。2021年に110円だった日本円の価値は2024年4月時点では150円台に下落しています。円の価値が数年で3割から4割下落しているので、海外旅行すると3割、4割多い円が必要になるということです。 ここ数年、米ドルだけではなくほとんどの外貨に対して円は下落の一途を辿っています。現在の円下落は諸外国との金利差が広がっていることが主な理由ですが、人口減少からの日本経済の衰退を考えると今後も明るい未来は描けないでしょう。1米ドル150円ならまだ良いほうで10年、20 年先まで見据えると300円、400円という未来もあり得るのではないかと考えてしまいます。 超円安になったとき海外旅行に行けないくらいならいいですが、夢だった海外移住ができなくなったり、子どもが希望している海外留学をさせてあげられなかったりなど人生設計が大きく変わるリスクがあるということです。 このような円安を想定している富裕層は資産の半分以上を米ドルなどの外貨にしています。今の段階で円を米ドルにしておけば1米ドル300円になっても400円になっても150円で交換した米ドルがあるので、未来の円安リスクを回避できるわけです。これが、円安が資産運用しなければならない2つ目の理由です。 3つ目の理由は日本の財政破綻リスクです。これは前述の物価上昇や円安よりは起こる確率は低いといえますし、すぐに起こることはないと思います。しかし万が一、起こってしまったときの資産に対する破壊力は計り知れないという富士山大噴火のような出来事です。 国の財務の健全性を示す指標のGDP対比の債務残高は先進国の中でぶっちぎりで日本はトップを独走しており、先進国の中で最悪の財務体質ということを表しています。 もし日本の財政が破綻する、もしくは破綻が懸念されるようなことが起これば、日本の通貨や株式の価格は大暴落するでしょう。つまり、円預金や日本株など国内の資産しか持っていない富裕層の資産は壊滅的な状態になるわけです。 では、どのようにこの壊滅的な状態になるのを防げばよいのでしょうか? 考えたくない恐ろしい出来事ですが、日本資産の価値暴落リスクは外貨や外国株式など海外資産に分散させるだけで簡単に回避することができるのです。すでに起こっている日本のインフレと円安、そして起こる確率は低いがもし起こったら大変なことになる日本の財政破綻リスクを回避するために、日本の富裕層は資産運用を行う必要があります。
世古口俊介