「それは違うよ」と父に言いたい――性教育を受けた生徒たちが大人に感じるギャップ #性のギモン
「男子は女子の味方になってくれないと思っていたけど」
2年生の鈴木マイさん(仮名)と田中ノゾミさん(仮名)は、授業の「話し合えるところ」が好きだという。 「授業の時、隣の席が男子でした。話し合いをする時に気まずいなと思ったけど、話してみたら意外と意見が一緒だった(笑)。それまで男子は女子の味方になってくれないと思っていたけど、そうじゃなかった。私の中に偏見があったと反省しました」(鈴木さん) 田中さんはこう言う。 「今までは『好きな男子いる?』と聞いていたけど、『好きな子いる?』と言うようになりました。別に気を使っているわけではなくて、自分の考えがそうなったからです。性の多様性などをもっと前から知っておきたかった。もし小学生からこうしたことを学んでいたら、16歳の今の私の考え、私自身がもっと違っていたと思うんです」 自分自身が変わっていくと同時に、周りを見る目も変わってくる。 「父が弟に『男なんだから泣くな』と言うんですけど、私はこの授業を受けているので『それは違うよ』と思います。私自身も昔から、『女の子なんだからもっとおしとやかにしろ』と言われてきました。父が考えを変えるには時間がかかるだろうし、たぶん変えようとも思ってない。だから、最近は割り切っています」(田中さん) 「私の父は生理について理解がないので、『おなかが痛い』と言っても『気持ちの問題だ』と言うんです。何も知らないからですが、『違うよ』と思います」(鈴木さん)
下ネタと扱われずに、性について話せる場
生徒からの要望があり、男子と女子がお互いに疑問に思っていることを匿名で質問し、匿名で回答するということも行っている。同性や全員に対する質問も可能だ。田中さんはこの授業が印象深いと言う。 「男子からの質問に、生理のことが多かった。男子が思ったより知ろうとしていることに驚きました。一方で女子からは、もっと男子に生理のつらさについて知ってほしいという意見もありました」 「私は中学生の頃、生理のナプキンが入っているポーチを男子に見られて、からかわれた経験があります。そういうことがなくなればいい。お互いのからだについて、もっと早くから知るべきだと思います」(鈴木さん) 生理以外にもさまざまな質問が出てくる。「急に勃起した時、どうしてますか?」「マスターベーションはしたことがありますか?」「女子からされて嫌なことはありますか?」「男子は顔で女子を選びますか? あるいは性格で選びますか?」など。思春期の人間関係で気になることも多く含まれている。