「男子校や共学でも性教育は必要だと思う」ーー男子だけ女子だけの環境でどう教えるか #性のギモン
近年、性教育のあり方が見直されている。思春期を男子だけ、女子だけの環境ですごす男女別学の学校では、どのように性を教えているのだろうか。生徒たちの反応は。実践する男子校、女子校の教員と、女子校で保健の授業を担当した医師に聞いた。(取材・文:鈴木紗耶香、長瀬千雅/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
男女別学で、異性との関わり方をどう学ぶ?
今年7月、都内にある男子校、立教池袋中学校・高等学校で、『男子の性教育 柔らかな関係づくりのために』の著書がある村瀬幸浩さんを招いて、教職員向けの研修会が開かれた。 「中学生・高校生男子の性の悩み電話相談では、包茎、自慰、性器の大小、この三つが上位を占めます。思春期に自分の性に否定的な印象を持ち、その後もコンプレックスを引きずっていく男性がたくさんいますので、自分の性を肯定できる学びが必要ですね」 「性教育は女子の教育だと思っている人がいまだに多い。性は本能ではなく、学ぶことで身に付けていく文化であり、相手との関係の中で表現していくものだということを、思春期の男子にも教えたいと思っています」
同校の「性教育研究委員会」がこの研修を企画した。メンバーの一人である養護教諭の真崎昌子さんは「教職員がまず理解を深める必要がある」と話す。 「教職員である私たちも何を教えたらいいのかわからないわけです。自分たちが習ってきていないから。自分の中に性に関する価値観ができあがっていないのに、子どもたちのそれを育んでいこうとするのは難しい」 現在の性教育は、ジェンダー平等や性の多様性といった考えに基づく必要があるとされているが、実際の授業におとしこむのは簡単ではない。共学であればジェンダー観が養われるというものではないが、思春期を男子だけ女子だけの環境ですごす男女別学の学校は「異性との関わり方がわからないまま社会に出ることになる」といったデメリットが指摘される。一方で「性別役割意識にとらわれることなく学校生活を送ることができる」というメリットもある。