【毎日書評】コピーライターが実践する、人のこころを動かす「強いことば」をつくる3原則
著者によれば『キャッチコピーのつくり方 一瞬で心をつかむ、一生役立つスキル』(川上徹也 著、日本実業出版社)は、「日々忙しくすごすビジネスパーソンのために、『コピーライティングの基本的な考え方』と『キャッチコピーをつくるプロセス』について、簡潔かつ核心部分だけを解説したもの」。 根幹の部分に絞って解説されているため、さまざまな分野に活用しやすく、その守備範囲は「広告」「販促」のキャッチコピーだけにとどまらないそう。マーケティング戦略を立てる際の「コンセプトの立案」を筆頭に、「企画書」「メール」「案内文」「WEBコンテンツ」「プレスリリース」など、さまざまなビジネス文章のタイトルや見出しに活用できるというわけです。 なお、「広告コピー」を書くだけでなく、広く「人の心をつかむことばを見つけ、短く的確に表現する能力」のことを、著者は「キャッチコピー力」と名づけています。 「キャッチコピー力」が役立つのは、ライティングの場面にとどまりません。 経営戦略、事業構築、商品開発など、経営の根幹に関わる「理念」「パーパス」「ビジョン」を生み出すこともできます。リーダシップや組織運営などにも、言葉は重要な役割を果たします。(「はじめに」より) ことばは、あらゆる企業活動の中心に位置するもの。つまり「キャッチコピー力」は、多くのビジネスパーソンにとって必要不可欠な能力だということです。ちなみにご存知の方も多いでしょうが、著者は企業や団体の「理念」や商品の「コンセプト」を1行に凝縮する「川上コピー」を得意分野とするコピーライター。 つまり本書においては、その活動のベースとなる部分を凝縮しているわけです。きょうは序章「キャッチコピーをつくる前の大前提」に焦点を当て、基本的な考え方を確認してみたいと思います。
ことばを強くする方法
「キャッチコピー」をつくる際の“原則中の原則”は、「強いことばを使う」ことだそうです。理由はもちろん、弱いことばには誰も反応しないから。とはいえ、このフレーズを使えば必ず「強いことば」になるという魔法のようなワードがあるわけではないのが難しいところでもあります。 それどころか、誰が使うか、あるいは時と場合によっても「強いことば」は変化するものです。だとすれば、どうすればことばに「力」が宿り、「強いことば」になるのでしょうか? この問いに答えるべく、著者は「ことばを強くする3つの原則」を明らかにしています。それぞれを確認してみましょう。(32ページより)