【毎日書評】コピーライターが実践する、人のこころを動かす「強いことば」をつくる3原則
1:常套句(空気コピー)を使わない
「陳腐な言葉や一般論が消費者の耳に届くことはない」(36ページより) これは広告のパイオニアとして知られるクロード・C・ホプキンスの著書『広告マーケティング21の原則』内にあることばだそうです。 使い古された陳腐なことばのことを「常套句」、フランス語では「クリシェ」と呼びますそんな“常套句でクリシェなフレーズ”を、著者は「空気のような存在」という意味になぞらえ「空気コピー」と名づけたのだとか。 「空気コピー」は業種などによっても異なり、たとえば食品業界でいえば「こだわりの」「厳選した」、情報システム業界なら「ソリューション」「最適化」「エンゲージメント」などが空気コピーの典型であるようです。 競合商品や同業者が言っても成立するようなキャッチコピーは、多くの場合「空気コピー」です。 「空気コピー」では人の心は動きません。当然、望む結果が生まれることもない。 ちゃんと「気」を入れた「本気コピー」を書く。(37ページより) そう決意して実践するだけでも、読み手が反応する「強い言葉」になる可能性は高まるといいます。(36ページより)
2:ことばの化学反応を考える
「強いことば」というと、まったく新しいフレーズなどを発明しなければならないように思われるかもしれません。しかし、そういうことではないようです。それぞれのことばは平凡であっても、組み合わせ次第で「強いことば」になることもあるわけです。 ちなみに映画やテレビ番組、楽曲などのタイトルにも、「ことばの組み合わせで化学反応を生む」という手法はよく使われるそうです。 言葉の化学反応は、「オクシモロン(oxymoron)」から考えてみることも有効です。 「オクシモロン」とは修辞法の1つで、意味の矛盾する語句を並べて効果的な言い回しにするものです。日本語では「対義結合」「撞着語法」などと呼ばれています。(39ページより) 互いに意味が矛盾する表現を組み合わせることが基本で、たとえば「急がばまわれ」「公然の秘密」「負けるが勝ち」「生きる屍」「小さな巨人」などの慣用句もオクシモロンになっています。ことばの化学反応を起こすことで、「強いことば」になり、読み手が反応する可能性が高まるのです。(38ページより)