「硬くて重い靴はやめる」を決断した70歳エッセイスト。「靴の外見にはもうまどわされないし『そこそこいい値段だった』で引かれる後ろ髪もない」
総務省の発表によると、2023年の70歳以上人口の割合は23.2%だったそう。約4人に1人が70歳以上であるなか、70歳を迎えたエッセイストの中山庸子さんは「したくないことや嫌いなものを明るくやめれば、新しい幸せが作れる」と語ります。そこで今回は、中山さんが「これってやめていいんじゃない」を100個ピックアップした著書『やめると人生ラクになる 70歳を越えたらやめたい100のこと』の中から一部を抜粋してご紹介します。 【書影】長年溜まりに溜まった、人生と暮らしの垢落とし。中山庸子『やめると人生ラクになる 70歳を越えたらやめたい100のこと』 * * * * * * * ◆硬くて重い靴 柔らかくて軽い靴なら歩くのも好きになる 歩けることのありがたさ、というか歩けなくなることのつらさは、母の介護でつくづく感じたので、歩けるは私にとって「やめたくないこと」の筆頭。 そこで、すぐに脱ぎたくなったり乗り物に頼りたくなる、硬くて重い靴はすべて「やめる」ことにしました。 今までは、靴を処分するときも、流行やデザイン、色とかを考えて……なんて感じだったから、なかなか減らせなかった。 ところが、硬いや重いなら、触って持ちあげればすぐに分かるから、とってもラクに決められます。 靴の外見にまどわされず、「硬くて重い靴」には何の未練もないし、正直「そこそこいい値段だったから」くらいでは、引かれる後ろ髪もありません。 もし一瞬「もったいない気分」の波が寄せてきたとしても、「そのたびにタクシーになっちゃったら、かえって高くつくかもよ?」と、自分に切り返しちゃえばいい。
◆自慢の手秤で選ぶ 硬くて重い靴を買った頃より、今選ぶソックス類も厚手のものになっているから窮屈に感じるし、薄手のタイツとかで靴擦(くつず)れにでもなったら、人生のうちの数時間を〈我慢〉に取られてしまう(こんなときタイツはすぐに脱げないから始末が悪いです。お腹はあったかいけど)。 試しに、今一番よく履く靴の重さを量ってみると、なんと片方が120グラムという軽さでした。そのおかげでこの靴を履いたときは、サクサク歩けてたんですね。 その感じを手に覚えさせて、他のも次々手秤(てばかり)で測定。「えっ」と言葉が出るくらい、靴によって重さが違うことが分かりました。 今は手持ちの「柔らかくて軽い靴」で間に合うけれど、これから買うときには、自慢の手秤で「この軽さなら歩きたくなる」という靴を選ぶことにしましょう。
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