「感動した本の面白さを伝えたい」 ビブリオバトルで大学受験 チャンプ本が合格ではなく、何が評価されるの?
合格者の活躍に大きな手応え
この入試で合格した学生は、入学後もGPA(成績評価)が高く、学びに対するモチベーションが高い傾向があるといいます。鈴木学類長はその理由として、知識情報・図書館学類の教育内容とビブリオバトルの親和性が高いことを挙げます。 「表現力がなければ効果的な発表はできず、説得力のある説明には論理的思考力が必要です。質疑応答ではコミュニケーション能力が不可欠です。つまり、ビブリオバトルで必要とされる能力は、本学類がアドミッションポリシーに掲げる『知識スペシャリストにふさわしい豊かな発想と表現力をもった人材』『知識ゼネラリストにふさわしい論理的思考力とコミュニケーション力をもった人材』に求められる能力そのもので、合格者の入学後の活躍からも大きな手応えを感じています」 自分の好みに合わせて本を選べるビブリオバトル方式には、一般的な面接試験で起こりやすい「テーマによる当たり外れ」がなく、受験者が普段通りの能力を発揮しやすいという利点があります。計画的に対策を進め、自信をもって入試に臨めるため、受験者の本来の能力を大学が正確に評価できるという側面もあり、両者にとってメリットの多い入試と言えます。 「ビブリオバトルの本質はコミュニケーション能力にあります。自分の発表も、他者の発表も、すべてを楽しむ気持ちがあれば、きっと良い結果につながると思います」と、槇嶋さんは話します。「楽しむことが合格を引き寄せる」という、そんな合格者の言葉からも、ビブリオバトル方式の特色を垣間見ることができます。
図書館を活用など、オリジナルな入試
筑波大学のように、本を活用してオリジナリティーあふれる入試を行っている大学はほかにもあります。お茶の水女子大学の「新フンボルト入試」です。 新フンボルト入試は大学図書館を活用して行われる文系の総合型選抜で、17年度入試から実施しています。 受験者は第1次選考として9月末に行われるプレゼミナールを受講し、セミナー終了後の60分間でレポートを作成し提出します。第2次選考は10月に図書館で行われ、試験当日発表されるテーマに沿って館内にある書籍や資料を活用し、小論文を作成します。受験生は6時間図書館で過ごし、終了するまで図書館から出ることはできません。 第1次選考では大学の授業を体験し、第2次選考では大学の研究方法を学ぶ内容になっており、入試を通して大学の学びを知ることができます。この入試では知識をいかに応用できるかが評価の基準となるといいます。 槇嶋さんのように、本が好きな受験生はこうした入試があることを知り、活用してみるのもいいかもしれません。
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