まるで「日本列島のよう」…「プレートの沈み込みからできる火山弧」の一端にある島で起きた「街をまるまる飲みこむ」ほどの大噴火
日本列島のような火山弧に位置する諸島
飛行機から降り立った瞬間にむっとした熱気を感じ、いかにもカリブの島にやって来たという雰囲気に包まれる。V・C・バード国際空港は西インド諸島の中でもリゾート地として人気が高いアンティグア島の空の玄関口だ。 忙しなく行き交う人々の流れに揉まれながら、乗り継ぎのためにモンセラート航空のカウンターを探していると、ようやく見つけたそのカウンターは大手航空会社が軒を連ね、長蛇の列がいくつもできているその最も奥の方にひっそりと設営されていた。 さほど待つこともなく搭乗手続きを済ませ、待合所を抜けると、滑走路には小さなプロペラ機が待っている。モンセラート航空が運行するのは操縦士を含め定員8名の小型機だ。欧米や周囲の島々へ飛び立つ国際線の大型旅客機が轟音を上げて離着陸する合間を縫って、著者を乗せたその小さな機体はモンセラート島に向けて静かに飛び立った。 南米大陸の北に大小の島々が密集した地域があり、西インド諸島と呼ばれる。この西インド諸島と中南米に囲まれた海域がカリブ海だ。『パイレーツ・オブ・カリビアン』でもお馴染みの17~18世紀頃に海賊が栄えた地域でもある。 西インド諸島の東縁では小さな島々が弓を描くように帯状に連なり、大西洋側に迫り出すように配列する。これらの島はとくに小アンティル諸島と呼ばれる。 亜熱帯の気候とそこで育つバナナやサトウキビ、それらを元にした食文化など特色ある風土がこの地域の魅力で(とくにこの気候で嗜むラム酒は格別だ)、リゾート地も多く、欧米諸国の避寒地としても知られている。 小アンティル諸島は日本列島と同様にプレートの沈み込みに起因する火山弧で、11の活動的火山が含まれる。モンセラート島はこの諸島の中でも北寄りに位置し、東西10km、南北16kmの洋梨のように下膨れした形の火山島だ。この島のことを知らなければ、地図を眺めてもほとんどの人がその存在に気づかないだろう。