雪山に慣れるために挑戦しやすいルートを紹介『雪山日帰りルート16』【前編】
雪山に慣れるために挑戦しやすいルートを紹介『雪山日帰りルート16』【前編】
好天であれば絶景を拝め、ロープウェイやリフトで高度を稼げる場所も多い。 とはいえ、日帰りでもそれなりの装備が必要なのは変わらないので、事前準備は万全にしたい。 山小屋泊ルートとレコメンダーはこちらの記事で紹介しているので参照ください。 ※『雪山日帰りルート16』【後編】は後日公開。 文◉吉澤英晃 Text by Hideaki Yoshizawa。
【1.白髪岳】霧島連山の景色が美しい
白髪岳は熊本県の南部、宮崎県との県境に位置している。標高は1、417m。冬になると雪を纏った姿が白く輝いて見えることから、老人の髪を連想してその名が付いたといわれている。 行程は北西に位置する白髪岳登山口から出発し、途中、猪ノ子伏という小ピークを越えて白髪岳山頂に達する往復ルート。稜線一帯は自然環境保全地域に指定されており、カエデやナラのほか、ブナの原生林が残されている。 「登山口の標高が高いため、山頂までに大きな登り坂はありません。標高1、300m付近まで続く豊かなブナ林のなかを心地よく歩きましょう。到達した山頂からは南側の展望が開けるので、霧島連山を眺めることができます」(シェルパ熊本店・阿南さん)。 猪ノ子伏から白髪岳の山頂へ向かう。樹林に覆われたなだらかな尾根を歩く。 「白髪岳」と名がつく由来にもなったブナ林の霧氷。写真撮影が忙しくなり、山頂になかなか到着しない。
コースタイム
3時間15分。
総距離
7。0km。
アドバイス
白髪岳登山口まで車で入れないため、少し手前から林道を歩くことになる。 登山道に特に危険な箇所はないので、足元は12爪クランポンよりチェーンスパイクがおすすめ。
アクセス
クルマでのみアクセス可能。九州自動車道人吉ICより約23㎞、およそ1時間で白髪岳登山口手前へ到着する。
【2.阿蘇・高岳】クランポンの歩行訓練にもおすすめ
世界最大級のカルデラで有名な阿蘇山の最高峰、高岳に登る往復ルート北面の仙酔峡から出発し、高岳に登ったあとは目と鼻の先にある中岳の山頂も踏んで往路を戻る。 「阿蘇山は約2年ぶりに火山活動が落ち着き、ルート調査が完了したことで晴れて登ることができるようになりました。仙酔峡から高岳へ至る仙酔尾根(通称バカ尾根)のルートからは、東面に九州の岳人を魅了してやまない虎か峰や鷲か峰など、岩稜の勇ましい姿を確認できます。積雪期には岩と雪が繰り返し現れるので、クランポンの歩行訓練にうってつけ。山頂から中岳を経由して雄大な阿蘇の火口をのぞき見ると、地球の生命を感じることができます」(シェルパ熊本店・阿南さん)。 極寒のバカ尾根(仙酔尾根)をひたすら登り続ける。 登山口がある花酔橋にできる巨大なつららを見る。 鷲か峰の下部ではアイスクライミングもできる。経験者と計画すること。