意外と知らない、いまでも日本語ワープロソフト「一太郎」が堅調な人気を維持する理由
かつては日本語ワープロソフトの代名詞だった「一太郎」。しかし90年代から00年代にかけてMicrosoft Wordとワープロソフト市場で競う中、徐々に存在感が低下。加えて近年はスマホやタブレットで文書編集をする方も増えてきており「ワープロソフト」を買う方は減っているのでは。 【写真でわかる】Windowsでイライラするやつ「画面左上に文字が!」なんのために存在してる? しかし、実は一太郎は「堅調かつ熱狂的な支持を受け続けているワープロソフト」であり、2024年現在も一定の存在感があります。Microsoft Wordではなく「一太郎」が2024年現在も熱く支持されている理由は何なのでしょうか。
日本語ワープロソフト「一太郎」とは
一太郎は、ジャストシステムが手掛ける日本語ワープロソフトです。その歴史は長く、一太郎の発売開始(※「jX-WORD太郎」の後継製品として)は、1985年。当時の一太郎は、MS-DOSベースで動作するソフトウェアでした。 一太郎の最大の特徴は、搭載されている日本語変換システム「ATOK」の性能の高さ。予測変換の精度が高く、ユーザーのタイプミスや「ら抜き表現」などの誤記・誤字も指摘してくれます。 また一太郎はレイアウト編集にもよく使われるソフトウェアであり、ビジネス文書から個人の創作活動まで多岐にわたる用途に対応しています。 ■ジャストシステムは「スマイルゼミ」を手掛ける通信教育企業としても有名
余談ですが、一太郎を販売しているジャストシステムは通信教育サービス「スマイルゼミ」の運営元企業としても有名。2009年にキーエンスとの資本・業務提携を発表したジャストシステム社。その後、2012年からタブレットを使った通信学習「スマイルゼミ」のサービスを開始し、今日に至ります。
90年代~00年代に「一太郎」を待ち受けていた苦難
キーエンスとの資本・業務提携前夜、90年代~00年代にかけて「一太郎」およびジャストシステムには様々な困難がありました。 1995年に「Windows 95」が登場すると、OSの人気を背景にMicrosoftは文書編集ソフトとして「Microsoft Word」の販売攻勢を仕掛けます。一太郎はワープロソフト市場でシェアを奪われていきました。1998年にはMicrosoftの販売戦略の一部が「独占禁止法では」と指摘されるなど、若干風向きが変わりましたが、ジャストシステムはこの年にはすでに赤字に転落。 2004年にはあらゆるXML文書を編集できる「xfy(エクスファイ)」技術を発表して巻き返しを図るも、技術そのものは高く評価されたものの波に乗ることはできませんでした。 企業としてのジャストシステムは、その後「スマイルゼミ」事業の成功などによって、華々しい成長を遂げています。一方で「一太郎」は90年代~00年代に低迷したまま、というイメージを持っている方が多いでしょう。