「ママ友だから断りづらい…」公民館での“体験会”の正体は?保育園のママグループに忍び寄る怪しい影
日常のどこにでもある、広く浅い沼の入り口。子育て中の母たちを狙う教科書のような体験談が、今回の沼の話である。 30代の沢渡清美さん(仮名)は、とある地方都市に暮らすワーキングマザーだ。子どもの保育園時代に親しくなったママ友グループのあいだでいま、マルチ系アロマへの会員登録が広まりつつあるという。
ママ友グループの前にマルチの商品が登場したのは、「アロマクラフト」(アロマオイルを使って作るものの総称。アロマバスソルトやアロマスプレーなどがある)の体験会でのことだ。定番オブ定番の、入り口である。 マルチ商品に触れるきっかけとしてママ友に誘われるケース以外だと、子育てイベントで情報を得た、マルシェなどで体験ブースが設置されていた、などもあるだろう(実際、筆者もそれをよく見かける)。 清美さんの場合は、保育園卒園の準備が本格的に始まる秋口に、ママ友つき合いが活発になったことがきっかけだ。小学校入学の準備も控え、親たちの連帯が高まるタイミングでもある。
ママ友からの誘いがはじまり
それまでは、コロナ渦だったことも影響して、清美さんが特別仲よくしている保護者はいなかった。ところが、同じ小学校へ進む予定の家庭と一緒に入学前検診に行くするなどの機会を通じて、休日に集まって遊ぶ仲までに発展し、ひとつのグループができあがったのだ。
そうしたある日の公園帰り。 「まだ帰りたくない!」 子どもたちがそう騒ぐので、複数の家庭でそのまま食事をしに行くことになった。その席で、ママ友のひとりである恵美さんがこう切り出した。 「次の日曜、みんなでアロマクラフトの会に参加するの。ハル君のおうちも、まるちゃんのおうちも行くよ」 同じテーブルにいれば、親の会話は当然子どもの耳にも入る。 「みんなが行くなら、自分も行きたい行きたい!!」 当然の流れである。ましてや、保育園以外で集まる楽しさを覚えたばかりだから、なおさらだろう。
知っている人は、知っている
清美さん自身も、いろいろなつながりができること自体は、うれしく感じていた。 ところが当日すぐに、誘いに乗ったことを後悔した。ケースから取り出されたアロマオイルのビンを見て、すぐに気づいたからだ。 「あーーーーー。あのマルチだ」