「ママ友だから断りづらい…」公民館での“体験会”の正体は?保育園のママグループに忍び寄る怪しい影
清美さんは、利用していたSNSのX(旧Twitter)で、たびたびそのアロマオイルの画像と悪評を見かけていたからだ。一方、ほかのママ友たちはXを使用しておらず、Instagramの利用が中心だった。 Xと比べると、Instagramではその手の批判は圧倒的に少ない。 だから清美さん以外の参加者は、それが巷で何かとウワサになっているアロマ系マルチだということを知らなかったようだという。
「公民館の和室で行われたアロマクラフト体験会は、誘ってくれたママ友ともうひとり、アロマ講師と名乗る初対面の女性が進行を務めていました。あとからインスタを見ると、その女性がマルチ会社のベテラン会員でした。 横のつながりを大切にしつつ、有益な体験談を語る人を参加させようという勧誘マニュアルを後日知りましたが、まさにそのとおりに会は進められました」
不調のないワーママはいない!?
講師が、参加者に呼びかける。 「日常生活で困っている症状や、健康の悩みはありませんか? 自己紹介もかねて、ひとりずつ教えてください」 「寝不足」 「疲れがとれない」 「頭痛持ち」 「生理前がしんどい」 「気圧の変化に弱い」 ママ友たちは次々に不調を話し出す。
「不調!? ないない! 毎日元気元気!」なんてワーママは幻に等しいので、不調を問われれば、誰でも何かしら出てくるだろう。 そこから寄り添いのいとぐちをつかむのは、マルチのアプローチとして無難な方法である。ところが、さらにもう一歩攻め込むのが、この界隈のやり口だ。
講師が語る、数々の「奇跡」
「参加者の不調語りがひととおり終わると、講師がおもむろに自分の話をはじめます。激務でくたびれ果てた毎日の末、大病を患ったが手術後に奇跡の妊娠。出産後はひと息つく暇なく、子どもの夜泣きに振り回される日々。そして発症した子どもの化学物質過敏症。 自分も体調不良が重なり、試行錯誤の毎日……。そこで出会ったのがこのアロマ! アロマの助けで化学物質と添加物を取り除いたら、不調が改善されて、人生変わった! そしていかにその商品が素晴らしいか、を延々と聞かされました」