暑い時期に増える痛風、ならないためにどうすればよい?
◇尿酸ができるのを抑える
痛風の発作を防ぐには、生活習慣の改善と同時に、クリニックで高尿酸血症の治療を受けることも考えたい。 「高尿酸血症の治療は薬物療法が基本になり、主に尿酸の“産生抑制”と“排泄促進”の2つのアプローチに分かれます。」と天野氏と述べる。 尿酸産生抑制の治療法は、体内での尿酸の生成を減少させることを目的としたものだ。具体的にはアロプリノールやフェブキソスタットなどを服用し、キサンチンオキシダーゼという酵素を阻害することによって尿酸の産生を抑制する。特に後者のフェブキソスタットは腎機能が低下している患者さんでも比較的安全に使われるという。
◇尿酸の尿への排泄を促進する薬は新薬が登場
一方、尿酸排泄促進の治療法は、体内で生成された尿酸を尿として排泄することを促進することが目的だ。尿酸の再吸収を抑制するプロベネシドやベンズブロマロンなどといった薬剤を服用することで、尿中の尿酸濃度が増加し、体外への排泄が促進される。 排泄促進法について、天野氏は続ける。 「近年では新規の尿酸排泄促進薬として、選択的尿酸再吸収阻害薬『ドチヌラド』が使用可能になっています。ドチヌラドは、腎臓で尿酸の再吸収を担う『トランスポーターURAT1』のはたらきを阻害することで、尿酸の尿中排泄を促進し、尿酸値を低下させます。」 天野氏は実際にドチヌラドの効果を検証しており、慢性腎臓病を併発した高尿酸血症の患者さんの腎機能が改善されたことを初めて確認し論文(https://bmcnephrol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12882-024-03535-9)で詳しく報告している。尿酸排泄促進薬でもっとも処方されている薬はすでにドチヌラドになりつつあり、今後ますます存在感を増していくだろう。
◇生活習慣の改善で尿酸値をコントロールする
耐え難い痛みを伴う痛風は、そもそも発作を起こさないに越したことはない。天野氏はあらためて、痛風にならないために尿酸値をコントロールすべきだと言う。 「尿酸値が高いことは、痛風だけでなく、心血管疾患や慢性腎臓病などのリスクを高めると考えられています。高尿酸血症の原因には遺伝的要素も関係していますが、生活習慣も大きな影響を与えます。適切な生活習慣を維持し、尿酸値をコントロールすることが、痛風や心血管疾患、慢性腎臓病の予防には重要です。」
メディカルノート