暑い時期に増える痛風、ならないためにどうすればよい?
◇高尿酸血症のタイプとすぐできる対策
天野氏は、高尿酸血症の原因は大きく2つあり、その原因に応じた生活習慣の改善はすぐにでもできると言う。 「高尿酸血症の原因は『産生過剰型』と『排泄低下型』に大別されます。これには遺伝的要素も関係しますが、生活習慣も重要な要因です。」 尿酸が体内に多くできてしまう産生過剰型では、高プリン食(肉類や魚介類など)やビールなどのアルコール、さらには果糖の過剰摂取が原因と考えられている。 「これらの食生活を見直すことが重要です。」と天野氏はアドバイスする。 一方、体の外に出る尿酸が少なくなる排泄低下型では、尿酸の尿中排泄機能が低下する原因が生活習慣に関連している。肥満や糖尿病によるインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)やアルコール摂取が低下の要因だという。 「特に気をつけたいのはアルコールについてです。最近はプリン体をカットしたというビールが販売されていますが、そもそもプリン体を含まないアルコールでも尿酸値が上昇する可能性があります。痛風というとついプリン体に気をつければよいと思いがちですが、飲酒自体を適度にすべきでしょう。」
◇ビタミンCを積極的に摂取する
生活習慣の改善でできる高尿酸血症の対策はほかにもあると天野氏は説明する。 「2021年に報告されたメタアナリシス研究によれば、ビタミンCの経口補給は尿酸値を減少させる効果があることが示されています。これによって『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』では、ビタミンCの積極的な摂取が尿酸値低下に寄与するエビデンスの確からしさを、4段階の上から2番目の“B”と評価しています。さらに、ビタミンCは感染予防や酸化ストレス対策に有効であり、さまざまな病気の予防につながる可能性があります。」 また、ほかにも気をつけて食べたい食材があるという。 「野菜や海藻は毎日十分に摂取してください。食物繊維を多く含むこれらの食品は、プリン体の吸収を妨げるとされています。また、これらは尿が酸性に傾きすぎるのを防ぎ、尿酸を体外に排出しやすくしてくれます。」