暑い時期に増える痛風、ならないためにどうすればよい?
◇尿酸の基準値はどれくらい? 高いとどうなる?
とはいえ、やはり体内に尿酸が多すぎることはリスクにつながると天野氏は言う。 「そもそも、尿酸値は7.0mg/dLまでが基準値内で、これを超えると高尿酸血症と呼ばれます。7.0mg/dLを越えてしまうと、関節内に尿酸がたまってしまうからです。」 尿酸が増えてしまうことの最大のリスクは痛風だ。さらには、心血管疾患や慢性腎臓病など、動脈硬化に関連する病気のリスクを高めてしまうというから注意が必要だろう。 まず、高い尿酸値が痛風を引き起こすメカニズムはこうだ。 「血中の尿酸値が高い状態が続き、尿酸塩が結晶化して関節内に蓄積すると、痛風発作を引き起こします。痛風発作とは急性の単関節炎で、特に下肢の関節に多くみられます。また、発作時にはすでに尿酸値が低くなっていることが多く、発作時の尿酸値よりも、過去の高尿酸状態の継続が重要とされます。」
◇尿酸値が高いと生活習慣病を引き起こす一因に
では、尿酸値が高いと心血管疾患や慢性腎臓病につながるのはなぜだろうか。 「高尿酸血症の患者さんの体内では、プリン体が代謝され尿酸ができるときに作られる活性酸素と、尿酸それ自体の影響で、血管の内皮細胞が傷つけられ血管の柔軟性が損なわれると考えられています。実際に多くの疫学研究で、尿酸の高値は高血圧、脳卒中、心血管疾患、さらには慢性腎臓病のリスクであることが示されています。」 つまり、これらの病気を予防する意味においても高尿酸血症を適切にコントロールする意義は大きいのだ。
◇痛風の発作が起きたら
尿酸値が高い状態が続き痛風の発作が起きた場合、どのような治療を受けることになるのだろうか。 「急激な痛みに対しては、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)やコルヒチンの少量投与が行われます。さらに、多発性関節炎や腎機能障害がある場合には、ステロイドが投与されることもあります。私は症状に応じてナプロキセンとコルヒチンを投与することが多いですね。また、痛風発作中に急激に尿酸値を変動させることは、発作をさらに悪化させる可能性があります。したがって、原則として発作中には尿酸低下薬の使用を開始しないこととしています。」(天野氏) その後、痛風の発作は1~2週間で自然に緩解することが多いという。が、そのまま何もせずにいるのは避けたほうがよい。天野氏は言う。 「放置していると再発の可能性があります。再発を防ぐには尿酸値を下げることが重要です。」