レインボーシックス シージ世界大会は、eスポーツを価値あるビジネスへと昇華したのか
2024年2月25日、eスポーツ世界大会「Six Invitational(シックスインビテーショナル)」が成功裏に終りを告げ、ビデオゲームパブリッシャーのユービーアイソフト(Ubisoft)は、eスポーツをすべての関係者にとって価値あるビジネスにするための暗号をついに解読できたのかもしれない。 「Six Invitational」は、ユービーアイソフトの人気ファーストパーソン・シューティングゲーム「Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ、以下R6S)」の世界大会で、先週末2月23日から25日にかけて実施され、8年目のシーズンを締めくくった。 ゲームデベロッパーが時代の変遷に順応しようとするなか、記録的なイベント視聴者数(ユービーアイソフト調べ)を達成し、eスポーツが業界待望の救世主であると示すことができた。
低迷していたレインボーシックス
この数年、R6Sの道は平たんではなかった。ウェブサイト「Steam Charts」(人気ゲーミングプラットフォームSteam上のプレイヤー数を追跡するサイト)によると、2021年3月に同時接続プレイヤー数が20万人に迫ると、ポストコロナでその数は減少に転じた。 eスポーツ団体のなかには、2022年後半から2023年前半で撤退した団体もある。 それ以来、ユービーアイソフトはeスポーツ企業ブラスト(Blast)と手を組み、eスポーツのエコシステムを改善してきた。eスポーツ「レインボーシックス」に新しい命を吹き込み、成果を挙げたのだ。 ユービーアイソフトがある記者に伝えたデータによると、今年2024年のSix Invitationalは、視聴者が過去最高を記録し、同時視聴者が52万1323人に達したという(注:ユービーアイソフトは、今大会の最終週末の報道に関して、当該記者の移動費や宿泊費を負担していた)。
視聴者数増加と広告主増加
この「52万1323」という数字は、各プラットフォームにおけるユービーアイソフトのライブストリーミング視聴者と、ニコラス・スチュアート氏(ハンドルネーム:Jynxzi)やアレクサンドラ・ボルバ・チキータ氏(ハンドルネーム:gAuLeS)など人気の高いゲーミングインフルエンサーが提供する公式(有料)同時配信のライブストリーミング視聴者のピーク時視聴者数をすべて合計したものだ。同時配信は、ユービーアイソフトの意図的な措置であり、この結果10万単位で視聴者が増加した。 ユービーアイソフトとブラストが2022年12月に「レインボーシックス」の提携を発表してからというもの、「レインボーシックス」のエコシステムに加わる広告主の数が徐々に増加している。 ブラストのチーフビジネスオフィサー、レオ・マトロック氏によると、2023年5月にコペンハーゲンではじめて共催した大イベントの広告主は1、2社だったが、Six Invitational 2024では7社が名乗りをあげた。なお、ブラストおよび広告主は、Six Invitational協賛の具体的な金額に関しては言及を避けている。 eスポーツ「レインボーシックス」の人気のおかげで、カジュアルプレイヤー層に対するダウンストリーム効果に回復が見られる。Steam Chartsによると、過去30日間、「レインボーシックス」の同時接続プレイヤーは平均5万7000人前後で、2023年2月の同時接続プレイヤーが4万1000人であることを考えると、前年比で大幅な増加を見せている。急増が見られた時期の多くは、2月13日から25日にかけてブラジルのサンパウロで開催されたSix Invitational 2024と重なる。