「発酵している」のと「腐敗している」のは何が違うの?発酵食品のすごさを第一人者が解説
何となくしかわかっていない発酵食品のすごさを、発酵学の第一人者である小泉武夫先生が解説。その魅力を知れば、発酵食品をもっと取り入れたくなるはず! 【画像】「発酵している」のと「腐敗している」のは何が違うの?発酵食品のすごさを第一人者が解説
そもそも発酵食品ってどういう物?
微生物の働きで発酵することで、独自のうまみや匂い、栄養価が高まった物。 発酵とは、一般的に酵母や細菌、カビなど微生物の働きによって、人にとって有益な物質を作り出す現象のこと。特に湿気の多い日本は2000年もの間、微生物と共存し、知恵を駆使して、みそやしょうゆ、納豆などの発酵食品を生み出してきました。 発酵させることによって、食品の味や匂いが変化し、アミノ酸などのうまみ成分が生まれます。また、発酵の過程で微生物がさまざまな栄養成分を生み出し、栄養価が高まることがわかっています。発酵を促す微生物が増えることで腐敗菌を寄せ付けず、保存性が高まるというメリットもあります。
「発酵している」のと、「腐敗している」のは、何が違うの?
「発酵」は人の体に良い物質を作り出し、「腐敗」は有害な物質を作り出すこと。 「発酵」も「腐敗」も、微生物の活動により起こる変化で、科学的にはほぼ同じ。微生物が生み出す物質が、人間にとっておいしい物や役に立つ物であれば「発酵」、人間にとって健康に害を及ぼす物は「腐敗」と呼ばれ、その価値観によって区別されます。 ●発酵食品を作り出す主な微生物 ・麹菌 カビの一種で、米や大豆などで培養させて使用。たんぱく質をアミノ酸に分解する酵素や、でんぷんを糖に分解する酵素などを生成。主な食品は、みそ、しょうゆ、みりん、甘酒など。 ・納豆菌 枯草(こうそう)菌という細菌の一種。煮大豆に納豆菌を加えることで発酵し、たんぱく質を分解してアミノ酸を生成。納豆菌の種類によって、納豆のネバネバ具合や味、匂いが変わります。 ・乳酸菌 糖類を分解して乳酸を生成する細菌の総称。乳酸菌は乳酸菌やアミノ酸を生み出し、独特の風味を与えます。主な食品は、ヨーグルト、チーズ、キムチ、漬け物など。 ・酵母菌 食べ物に含まれる糖をアルコールと炭酸ガスに分解する微生物のこと。酒の醸造やパン作りに欠かせない菌で、みそや漬け物にも存在します。