スパイスカレーの次は「クラッシュカレー」が来る!カレー研究家・水野仁輔さんがハマったカレーとは?
タイで出会った「クロックヒン」とは…
小竹:今はどんな感じですか? 水野:今はハーブカレーは一旦お蔵入りです。でも、タイ料理の熱はまだ残ったままなので、海外の旅ができるようになってから真っ先にタイに行きました。タイに行って出会ったのが「クロックヒン」。 小竹:何ですか、それ? 水野:石臼です。タイ料理って石臼で潰してペースト作るのですが、フレッシュなスパイス、ドライのスパイス、ハーブとか、いろんなものを入れて潰してペーストにして、そのペーストを加熱して汁物を作ったりしていくんです。 小竹:はいはい。 水野:その中の一部のものをいろいろな外国人が「これはカレーじゃないか」と言って、そのゲーンと言われる料理の一部をレッドカレー、グリーンカレー、マッサマンカレーなどと言って、カレーと呼んでいるんです。 小竹:うんうん。 水野:タイにおいてカレーと呼ばれている料理で、一番欠かせない調理道具が石臼なんです。僕はこの1~2年でタイに行くようになる前から、石臼は家に2台くらい持っていました。 小竹:持っていたのですね。 水野:だけど、そんなに着目していなかった。たまに使うこともあるけど、別に石臼じゃなくてもみたいな感じでした。でも、今回タイに行って、石臼でレモングラスとかカーという生姜とかを叩いてみたら、立ち上る香りが今までに体験したことないような爽やかな香りだったんです。 小竹:それは石のデコボコがあるからですか? 水野:叩き潰すという行為ですね。基本的にスパイスとか香りの出る素材は、全般的に丸のままの状態から潰すと香りが立つ。例えば、ハーブは手でパンって叩いたりちぎったり刻んだりすると香りが立ち上る。あれの究極系が叩き潰すことなんです。 小竹:うんうん。 水野:石の臼に石の杵でガンガンとペースト状態になるまで潰していく。その間ずっといい香りが立ち上っている。だから、この香りを生かしたカレーもあるのではないかと思ったんです。しかも、それはハーブカレーの兄弟感もありますよね。 小竹:たしかにあるかもしれない。 水野:潰すのはハーブですからね。ただ、石臼を使ったカレーは潰すのがハーブに限らず、ドライのスパイスも潰すし、フライドオニオンとか素揚げしたものも潰すし、生の野菜とかも潰す。だから、ハーブだけを使って作るカレーよりも幅が広がるんです。