スパイスカレーの次は「クラッシュカレー」が来る!カレー研究家・水野仁輔さんがハマったカレーとは?
打倒スパイスカレーとして「ハーブカレー」を発見
小竹:水野さんは100冊以上も本を出していますよね? 水野:そうなんです。ただ、ちょっと問題があって、「世の中にないものを生みたい」というのが僕のモチベーションで、ルーカレー全盛の時代にやっつけたいと思ってスパイスカレーを考えました。 小竹:はいはい。 水野:ところが、スパイスカレーがだんだん盛り上がってくると、スパイスカレーに対して苛立ってくるんです。気に食わないみたいな気持ちになっちゃって(笑)。 小竹:なんですか、それ(笑) 水野:それで、そろそろスパイスカレーをやっつけなくてはいけないということで、『やさしい!さわやか!新感覚!ハーブカレー』という本を去年出しました。 小竹:打倒スパイスカレーの本なのですね。 水野:はい。コロナ禍直前くらいにタイ料理に突然はまって、これからタイに入り浸ろうと思ったんです。そしたらコロナで行けなくなって、タイという新しいヒントがやってきたのに動けないことに対して、何とかしなくてはと思っていたんです。 小竹:うんうん。 水野:タイは従来のスパイスカレーと比べて、ハーブやフレッシュなスパイスを使うので、そういうものを使ったカレーの試作を重ねる中で、「ハーブがいい!」という感じになりました。 小竹:なるほど。 水野:ハーブを主体とした、ハーブが主役になるカレーって、日本にはあまりないんです。 小竹:スパイスよりハーブが上に来るということですよね? 水野:そうそう。しかもすごくおいしい。タイカレーはあるけど、タイカレーの枠からははみ出して、もっとハーブをふんだんに使ったカレーを作っていたので、“ハーブカレー”というのを思いついたんです。スパイスカレーをやっつけられるかもしてないって。
小竹:これだけ流行っているものの対抗馬としてね。 水野:それでこのハーブカレーの本を作り始めたのですが、スパイスカレーのときは僕が本を出して10年近く経ってから、世の中でスパイスカレーが盛り上がり出した。だから、この本も売れるまでに10年かかるかもと言っていたのですが、なんと発売1週間で増刷したんです。 小竹:私もこの本を見た瞬間に予約しましたもん。 水野:売れたから編集者や一緒に作った人は喜んでくれて、それは良かったと思うけど、出版業界のあまり良くないところだと感じるのですが、売れるとすぐに第2弾って言うんです。それが僕は面白くないわけです。 小竹:なぜですか?(笑) 水野:1冊目が売れたから2冊目を出そうという動機では僕は作りたくないみたいな気持ちがある。だから断って、一旦静かにしておこうと思ったんです。でも、ハーブカレーは盛り上がってほしいので、盛り上がるためには僕以外の誰かがお店でバンバン出すとかレシピ本を出すとかに行ってほしいんですよ。