【ABC特集】妻は若年性アルツハイマー型認知症 3度目の5㎞マラソン挑戦で見えてきたもの サポートやリハビリのあるべき姿とは
リハビリを兼ねてランニングに
そんな、由美子さんのリハビリも兼ねて始めたのがランニングです。由美子さんは元々運動が好きで、退職する前からほとんど毎日、正和さんと一緒に走ってきました。 (正和さん)「いろんな看護師さんから、とにかく日光を浴びて歩くのがどんな薬より一番効くと聞いています」 走るのが日課になった由美子さん。これまでにマラソン大会の5キロの部に2回出場し完走しました。しかし、元気だった由美子さんの体に、近頃変化が出てきているといいます。
(正和さん)「今年は多分もうだめ。足が動いてないから。(由美子さんは)走れるとは言うけど足がちょっと動きにくい。動かないというのが言えないみたい。自分では認めたくないのか」
”どうしても出場したい”
もうマラソン大会に出るのは難しいと感じ、出場を止めていた家族。しかし由美子さんは”どうしても出場したい”と望み、正和さんとともに、今年も出場することになりました。 (真由美さん)「走れないと思っていたから私は心の中では。歩くのも大変やったし、私はやめといたらと思ってたけど、母が走るっていったので」 (正和さん)「去年はゴールした時に泣いていた。歩けないとか走れないという悔しさがかなりあるみたい。去年、”来年も行く”と言っていたから嬉しかったんやろな。今年も完走はしたいと思いますね」
そして3回目の挑戦となったマラソン大会。コースを半分走ったところですでに息が切れ、由美子さんの体力は限界が近づいているように見えました。正和さんが繋いだ手を引きながら絶えず声をかけ、5kmを47分47秒でゴール。無事完走しました。 (由美子さん)「しんどかった」 (記者)「練習の成果は出ましたか?」 (由美子さん)「多分」 (正和さん)「力の限りがんばったな。大丈夫まだ力あるで」 最後になるかもしれないと言っていましたが? (正和さん)「なると思うけど、来年も出ることが目標にはなると思う。これだけがんばったから、諦めないでがんばったから。何度か諦めそうになったけど、そんなもんですよ。その分は僕がサポートしないと」 (娘・真由美さん)「よかったです走れて。お母さんも毎日がんばってくれているし、お父さんとこれからも、私もがんばるから」
2025年には、患者670万人以上になるという予想もある認知症。症状が進めば、身体障害者や精神障害者として様々なサポートを受けることもできますが、65歳以上の患者に比べれば人数が少ない「若年性認知症」の患者に合った居場所や、支援はまだまだ足りていません。 患者本人を、そして家族を支える制度が求められています。