【ABC特集】妻は若年性アルツハイマー型認知症 3度目の5㎞マラソン挑戦で見えてきたもの サポートやリハビリのあるべき姿とは
3年経って由美子さんの症状はさらに進行
2024年の1月、記者が3年ぶりに森さんの自宅を訪ねると、由美子さんの症状はさらに進んでいました。 (記者)「お久しぶりです」 (由美子さん)「誰か知らん・・・あー知ってます。知ってる」 (正和さん)「“パッシングといって取り繕いの反応。知っている人でも知らないということもあるし、知らない人でも知っていると取り繕う。多分誰かよくわかっていない。でも懐かしい感じがすると喜ぶんです」
由美子さんは現在、介護保険の要介護3=”ほぼ全面的に介護が必要な状態”です。 その症状が分かるのが日記です。看護師の頃と、退職後の2022年に書いた日記を比べると、文字数が明らかに減り、漢字どころか、ひらがなもおぼつかなくなっていました。
家族が特に困っているのが、夜です。 (正和さん)「ここ半年くらい夜間頻尿が多くなってきて、3分に1回くらいトイレに行くんでね。本人は覚えていない。次の日は(由美子さんは)起きているからね。こっちは眠いですよ」 娘の真由美さんも介助しますが、仕事があるため常に一緒にいるわけにいきません。トイレの付き添いから、風呂の介助、食事の支度まで、由美子さんの生活のほとんどを正和さんが支えています。
(正和さん)「専門家の方たちに聞いても“若年性認知症は社会的なサポートは、ほぼない”と言うんです。生活保護とか世帯分離とかして守る以外に、特別なサポートはない”という感じですね。若年性認知症が注目されているけど、何も一向に進んでいない」
由美子さんの状態なら、特別養護老人ホームなどの介護施設にも入ることができますが、体は元気な由美子さんが後期高齢者向けの生活をすることは、症状をさらに進行させてしまう可能性もあります。何より、本人が望んでいません。 (娘・真由美さん)「家族と離れるのがお母さん的にはよくないみたい」 (正和さん)「(由美子さんは)”施設には行きたくない”と言っている。デイサービスに行っても、慣れることができればいいんでしょうけど、高齢の方がたくさんいますし、そこに慣れるっていうのはなかなか難しい」