がん・認知症・糖尿病の可能性も…寿命を縮める「危険な眠り」30分以上の昼寝や激しい寝言は要注意
高すぎる枕は無呼吸や脳梗塞の原因に
睡眠の質を保つためには、寝具や照明など環境を整えることも重要だ。 「枕を選ぶ条件は3つあり、高さ・幅・硬さです。人は、直立時の姿勢のまま寝るのが一番いいとされているので、枕をしたときに直立時よりも首が曲がりすぎたり反ったりしているようならNG。 首に負担がかかり、血管を傷害することで脳出血や脳梗塞を引き起こす可能性があるほか、気道が狭くなることで無呼吸が起こりやすくなります。特に中高年は、肥満やホルモンバランスの影響で気道が狭くなりがちですから、高すぎる枕には注意が必要です」 他の2つ、幅と硬さは、寝返りの打ちやすさに関わる。 「質のいい睡眠のためには、寝返りは必須。そのため枕の幅は、肩幅より少し広いぐらいがいいでしょう。枕が柔らかすぎて頭が沈み込んでしまうと寝返りが打ちにくくなるため、ある程度の硬さがあることも大切です」 パジャマではなく部屋着のまま寝る人も多いが、 「ノースリーブやショートパンツなど、手足を露出しすぎる格好は、入眠時の体温変化を妨げます。ジャージなど通気性の悪い格好も同様です」 昼光色などの明るすぎる照明も悪影響が。 「日本の家は照明が眩(まぶ)しすぎるといわれています。寝る前から明るさを落とした暖色系の照明にして脳を休ませることで、体内時計が整います」 また、ホコリなどによる鼻づまりはいびきや無呼吸症候群の原因になるので、花粉の季節は特に、寝室の掃除はこまめに行いたい。
激しい寝言は危険信号!10年後に認知症に……
睡眠には、深い眠り・ノンレム睡眠と、夢を見る浅い眠り・レム睡眠の2種類があるが、最近の研究で注目されているのが、レム睡眠の重要性。 「これまでは、ノンレム睡眠が大事だといわれてきましたが、レム睡眠が減少するほど、死亡リスクが上がることがわかってきたことから、レム睡眠が重要視され始めています。 理由は明らかになっていませんが、人は年をとれば認知症になりやすく、がんにもかかりやすくなる。これは、加齢とともにレム睡眠が減少することに関わりがあるのではないかといわれているのです。加齢のほか、不規則な生活もレム睡眠を減らしてしまうので要注意です」 ノンレム睡眠とレム睡眠には、それぞれに役割がある。 「ノンレム睡眠は記憶を定着させ、レム睡眠は嫌な記憶を除去すると考えられています。ですから、ストレス軽減のためにもレム睡眠を増やすことが有効です」 また、レム睡眠に関連した危険な病気もあるという。 「先述のとおり、レム睡眠中に夢を見るといわれていますが、本来は筋肉が弛緩しているので、夢の中で行動しても実際に身体が動いたり、寝言でハッキリと喋(しゃべ)ることはできません。 しかし、アルコールやストレス、加齢や脳の病気などの原因により、筋肉の弛緩が阻害され、夢の中での行動がそのまま明瞭な寝言や体動として現れてしまう。それが“レム睡眠行動障害”という病気で、50代ぐらいからの発症が多いとされています」 隣で寝ている家族を殴ったり、ベッドから落下、家具に激突したりして、骨折などの外傷を伴うことも。 「さらに放っておくと、10年後ぐらいにはレビー小体型認知症やパーキンソン病を発症しやすいことがわかっています。大きな声ではっきりと聞き取れる寝言を言っていたら要注意です」