宣言はなぜ2週間? 五輪優先では? 防戦に追われた菅首相
新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、政府は4月25日から東京、大阪など4都府県に「緊急事態宣言」を発出することを決めた。菅義偉(よしひで)首相は23日夜の記者会見でゴールデンウイーク(GW)の期間に絞った「短期集中的な対策」であると強調したが、17日間という期間設定などをめぐり、記者から質問が相次いだ。 【動画】3度目の緊急事態宣言「短期間で集中して実施」 菅首相が会見
●変異株への認識甘かったのでは?
「国民の命を守ることより、五輪が優先されていないか」 「政権の変異株への認識が甘かったのではないか」 3度目となる緊急事態宣言を発出する事態となり、国民に対策への協力を求めた23日夜の記者会見で、菅首相は「防戦」に追われた。 変異株への対応と進まないワクチン接種の現状を鑑み「政治責任をどう考えるか」と質問したジャパンタイムズ記者に対しては、「今回の緊急事態宣言に至ったのは、やはり大阪・兵庫では8割が変異株なので、変異株の対策を行うことが大事だ。そちら(変異株)の勢いの方が強かった。今回、GWを中心として人流を短期間だが止める。そういう対策を講じたということだ」と答えるなど、噛み合わなかった。 菅政権の五輪優先にも見える姿勢をただしたのは東京新聞の記者だった。今年1月に出された2度目の宣言を感染が微増傾向だったのに3月21日に解除したのは、4日後から始まる予定だった聖火リレーを優先したのではないか、今回の宣言の期間を5月11日までとしたのは、17日に国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の来日が予定されているからではないか、などの見方があることを挙げ、「どんな数値だったら五輪を開催しないという基準を示すべきではないか」と問うた。 菅首相は「聖火リレーがあるから解除したとかしないとか、そういうことは全く関係していない」と否定。五輪開催の判断基準については「開催はIOCが権限を持っている。IOCが東京大会を開催することをすでに決めている。安全安心の大会にするために東京都、組織委、政府の中でさまざまな対応を取っている。外国人観光客を(国内に)入れないのもその一例」と説明し、「コロナの感染拡大を防止する。国民の命を守る。これは当然の私どもの役割だ。そこはしっかりやりながら、オリンピックも対応していきたい」と述べるにとどめた。