自然災害に備えるにもお金が必要…有事のときに顕在化する経済的格差。なぜ日本は「自助」がデフォルトなのか?
貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。第73回は「有事の時顕在化する貧富の差」です。 * * * * * * * ◆個人でできる対策 8月8日に宮崎県で震度6弱の地震が発生した。気象庁は巨大地震が発生する可能性が高くなっているとして、「南海トラフ地震臨時情報」を出した。 以前から警戒されている南海トラフ。実際に起きれば日本列島に甚大な被害が起きることが想定されている。「南海トラフ地震臨時情報」が出されたことにより、一部地域では水や米などの買占めが起きたり、お盆の帰省を取りやめる人も続出するなど、緊張感が高まっている。 SNS上では、個人でできる対策として、防災グッズや備蓄の見直しが呼びかけられている。「東京備蓄ナビ」というサイトでは、住んでいる人の人数や年代、性別などを入力すると、必要な備蓄の目安 7日分のリストが食品等、衛生用品、生活用品というカテゴリーごとに表示される。 内容は水:21L、レトルトご飯:21食などの食品、携帯トイレ・簡易トイレ:35回分、カセットコンロ:1台、カセットボンベ:ガスコンロ1台につき1日4/3本、手回し充電式などのラジオなどなど、実に様々なものが必要になる。
◆有事のときこそ、経済的格差が顕在化する もちろん備えていくことに越したことはないし、実際巨大地震が起きたら、今までの生活は一変し、自力で生き抜かないといけない場面に遭遇するだろう。一方で、これだけの備蓄を揃えるだけで、いったいいくらかかるだろう? と思ったりする。食料を1週間分揃えるだけでかなりの金額だが、ラジオやカセットボンベなどのひとつ数千円するものもたくさん必要だ。もちろん100均などで揃うものも多いが、本当に抜かりなく揃えようと思ったら数万円は下らないだろう。 いつも思うのだが、有事のときこそ、経済的格差が顕在化する。備えるのにはお金がかかる。大災害の前にあって、貧富の差など関係なく、平等にリスクに晒されるという意見もありそうだが、リスクヘッジはお金でできる部分も大きいように思う。 何年か前に、巨大な台風が接近する中、備える街の人たちのインタビューが流れた。ある人は、10万円もする自家発電機を買ったという。そもそも頑丈な家に住んだり、自家発電機やバッテリーなどを買ったり、豊富な備蓄をしたり。それらは経済的余裕がないとできない。 1週間分備蓄しろと言われても、そんなお金はない、という人も少なくないのではないか。1週間分の備蓄が“推奨”されているというが、義務になったり、地震が起きたあとに、備蓄していなかった人が悪い、と自己責任にされることがあったら恐ろしいと感じる。
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