侵攻から2年 終わりの見えない戦闘 ウクライナ人の領土断念という「不確かな選択肢」の意味 #平和を願って
地域による意識の違いは、先のキーウ国際社会学研究所の調査でも示されている。前線地域の人たちは、ロシア軍の威力もウクライナの被害も、身をもって知っている。だから「諦める」という選択を考える。故郷を失い、その土地にもっとも愛着があるはずの人たちが「諦めるしかない」と言わねばならない状況を強いられている。 カテリーナは、しかし、諦めるということにも疑問を覚えている。 「もしウクライナが領土を諦めると言っても、ロシアは攻撃をやめるかどうか……。やめるかもしれないし、やめないかもしれない。私にはわかりません」 ウクライナの人々は、自分たちの力だけではどうにもならない状況の中で、疲弊と祈りの間に立っている。
----------- 伊藤めぐみ(いとう・めぐみ) ライター、ディレクター。1985年三重県出身。テレビ番組制作会社にてドキュメンタリーの制作を行う。2013年に映画『ファルージャ~イラク戦争 日本人人質事件…そして~』を監督。同作により第一回山本美香記念国際ジャーナリスト賞、第十四回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞奨励賞を受賞。2018年には『NHKBS1スペシャル 命の巨大倉庫』でATP奨励賞受賞。2018年、イラク・クルド人自治区クルディスタン・ハウレル大学大学院修士課程へ留学。ウクライナでの取材記が第21回開高健ノンフィクション賞最終候補に。現在、フリーランス。