「プラモデルはやっぱり面白い」スペシャル 『007/ゴールドフィンガー』公開60周年記念 映画に出演した中で間違いなく世界で一番有名なクルマ物語
なお、アストンマーティンDB5だけでなく、DB4も「ゴールドフィンガー」の撮影に使用されていると言われているが、DB4はボンドカーとして搭載した特殊装備(噴出シートや、マシンガンなど)の装備の確認のため用いられ、このDB4は撮影終了後1974年までパインウッドスタジオの走行に放置されていたという。その後このDB4はパインウッドスタジオに勤務していた特殊効果デザイナーの下にわたり(推測ながら、おそらく底値で譲ってもらったのだろう)、彼のもとで維持されたあと、2010年にイギリスで競売にかけられている。
蛇足ながら近年、アストンマーティンはコンティニュエーションモデルとして、25台のボンドカーを制作し、約5億円で販売した。このモデルにはダミーの機関銃、スモーク噴霧器、オイル噴霧装置、防弾シールド(本当に防弾かどうかは不明)、回転式ナンバープレートなどが装備されたが、助手席のイジェクターシステムだけは装備されていない。またこのDB5はナンバーがつかないため、言ってみれば原寸大の走るミニカーなわけだが、25台はもちろん完売。作成したアストンマーティン・ワークスのポール・スパイアーズ(名前も、スパイなのか)氏によれば、「子どもの頃コーギーのミニカーを持っていたので思い入れもあり、これは自分へのご褒美のような仕事だと思いました。でも実際に作るのは大変で、新車を作る方が楽」というほどの作業だったという。
尚、現在も1963年モデルのDB5フルオリジナルモデル1台を、007の映画製作会社であるイオンプロダクションは所有しているが、これには一切のガジェット(つまり秘密兵器)は装備されていない。この1台はスカイフォールの撮影において、ダニエル・クレイグとジュディ・デンチのシーンなどで使用されていたが、アグスタ・ウエストランドAW101及びAW159ヘリコプターからの攻撃を受け、爆発炎上してしまうのは、言うまでもなく精巧なミニチュアモデルである。