消滅後に脚光を浴びるのは"大物"の証拠 破天荒さでAZ-1の右に出るクルマなし
販売面では苦戦
AZ-1が登場した1992年といえば、バブルが崩壊した後。「いまだにスポーツカーなんて浮かれているの?」というスポーツカーに逆風が吹き始めている頃だったし、AZ-1は2シーターで5MTのみというスパルタンな設定だったこと、さらに新車価格がABSすらオプションでマニュアルエアコンが標準装備されるだけなのに149万8000円と当時の軽自動車としては破格に高かったこともあり販売面で苦戦。 AZ-1の販売目標は月販800台だったが達成した月は一度もなく、1994年に生産を終了するまで4409台を販売したのみ。一方スズキキャラはもっと少なく、合計531台。 広島県人である筆者は1994年に帰省した時に、マツダの宇品工場に大量に売れ残ってストックされていたAZ-1を見て複雑な気持ちになったのを覚えている。実際にAZ-1はその在庫がはけるのに約1年を要している。
限定モデルと特別仕様車が人気
マツダはAZ-1の販売のテコ入れのためマツダスピードバージョン、M2 1015という特別仕様車、限定車を販売。これらのモデルの成果は絶大で、AZ-1のなかでも人気が高かった。要因として、外観が差別化できたことが大きい。 外板パネルが自在に変更できるAZ-1ならではで、マツダスピードバージョンはヘッドライト回りのデザインが変更され、M2 1015についてはフォグランプを埋め込んで丸4灯風のデザインが与えられ特別感が際立っていた。
中古車は新車価格の倍以上の個体も!!
しかしあれほどストックヤードに残っていたAZ-1だが、絶版になってほしいという人が多数出現。人間関係で言う、「いなくなって初めてありがたみを感じる」というヤツだ。そのため、日本でも中古車マーケットで高騰が続いている。数が少ないこともあり、20世紀後半にはその傾向が顕著になっていたが、現在ではさらにエスカレートしている。 中古車はまずタマ数が少なく、出モノは常時10台程度。相場は220万~350万円程度で推移。特にマツダスピードバージョン、M2 1015は価格応談のモデルも少なくない。 中古車購入後注意すべき点はパーツの欠品。なかでも深刻なのはフロントガラスが生産終了している点だ。割れ、ヒビにより車検に通らないけど、パーツがないという状況になることも充分に考えられる。信頼できるショップなどに相談されたし。