消滅後に脚光を浴びるのは"大物"の証拠 破天荒さでAZ-1の右に出るクルマなし
固定式丸型ヘッドランプに換装
市販化されてAZ-1と車名変更を受けたが、コンセプトカーほぼそのままで登場。最大の変更点は、ヘッドライトがリトラクタブルから固定式の丸灯になったこと。これにより何とも言えない愛くるしい表情となっている。しかし、最大の特徴であるガルウイングはそのままで登場。ピラーにヒンジが装着された跳ね上げ式ドアは、トヨタセラがあったが、ルーフにヒンジの付いた正真正銘のガルウイングはAZ-1が日本初となる。 そのほかでは企画変更によりエンジンが657ccに排気量アップされていた。ピークパワーは現在まで続く軽自動車の自主規制の64ps、最大トルクは8.7kgmをマーク。
超スパルタンなハンドリング
コンセプトカーから変わらないと言えば、自慢のスケルトンモノコックフレームで、AZ-1は外板にFRPを使用することで、車重はなんと720kgの超軽量で登場。 そしてスポーティなハンドリングを実現させるためにステアリングはロック・トゥ・ロックが2.2回転という超クイックなステアリングギア比を採用。ちなみに市販車のロック・トゥ・ロックは3~3.5回が一般的だから、いかにクイックに仕上げられていたかがわかるハズ。カート感覚のハンドリングと言われるゆえんでもあるが、ハンドルを1cm切れば車体の向きが変わると言われるなど、その挙動はシビアでもあった。AZ-1のキャッチフレーズは、「未体験ハンドリングマシン」というもので、忠実に再現されている。ただ、このステアリングギアレシオが絶賛、否定の両面の大きな要因となっていたのも事実だ。
直前にスペアタイヤの搭載位置を変更
AZ-1は市販直前に衝突時にスペアタイヤがステアリングコラムを押してしまうという安全面の理由でスペアタイヤの搭載位置をボンネットから運転席後(室内)に変更。BMWと同じくらいスポーツカーの重量配分にこだわるマツダとしては断腸の思いだっただろう。スペアタイヤの移動によって前後重量配分は空車時にフロント42:リア58、2名乗車時はフロント44:リア56となっている。リアヘビーなこともシビアな挙動の要因となってしまった。