消滅後に脚光を浴びるのは"大物"の証拠 破天荒さでAZ-1の右に出るクルマなし
アメリカで600万円超で落札
そんななか、「2024年11月、アメリカのオークションサイトcars&bidsに出品された1993年式AZ-1が、4万500ドルで、日本円に換算すると約616万円で落札された」と報道された。日本の倍近い値段で取引されていることに怖くなった。 アメリカの25年ルールによって、日本の古いスポーツカーが続々と高値でアメリカに渡っているが、AZ-1も例外ではない。AZ-1は軽自動車ゆえ日本専売だったが、クルマゲームの『グランツーリスモ』に登場したこともあり、意外なほど海外で知名度がある。しかも、オモチャみたいな大きさのスポーツカーとして人気なのだ。
登場時期が悪かった
AZ-1は絶版後に注目度が集まった典型的なモデル。死後有名になった芸術家のごとく、今でもその人気は衰え知らず。まぁ、1992年というデビュー時期が最悪だったのが苦戦の要因と考えられる。ありきたりの表現だが、『登場時期が悪かった』。せめてあと2年早く、または10年後にデビューしていれば変わっていたのは間違いないだろう。 上記にあるとおり海外でも人気で特にアメリカへの流出はご遠慮願いたい。できることなら、欲しいと思う人にある程度適正な価格で回ることを願う。 【マツダオートザムAZ-1主要諸元】 全長3295×全幅1395×全高1150mm ホイールベース:2235mm 車両重量:720kg エンジン:657cc、直4DOHCターボ 最高出力:64ps/6500rpm 最大トルク:8.7kgm/4000rpm 価格:149万8000円(5MT) 【豆知識】 ホンダが1991年に登場させた軽オープンスポーツ。ホンダのオープンカーとしてはシティカブリオレ以来、オープンスポーツとしてはS800以来ということで大注目。エンジンは656cc、直4DOHCで64psをマークするが、他社がターボエンジンで64psだったのに対し、ビートはNAで達成していたのがホンダらしいところ。ターボでないのでトルクが細く、「ビートは遅い!!」と言われることもあったが、操る楽しさは最大限に評価されていた。そのビートの実質後継車がS660で、ビートの消滅後9年ぶりとなる2015年に登場(2022年3月生産終了)。 市原信幸 1966年、広島県生まれのかに座。この世代の例にもれず小学生の時に池沢早人師(旧ペンネームは池沢さとし)先生の漫画『サーキットの狼』(『週刊少年ジャンプ』に1975~1979年連載)に端を発するスーパーカーブームを経験。ブームが去った後もクルマ濃度は薄まるどころか増すばかり。大学入学時に上京し、新卒で三推社(現講談社ビーシー)に入社。以後、30年近く『ベストカー』の編集に携わる。 写真/MAZDA、HONDA、ISUZU、ベストカー