消滅後に脚光を浴びるのは"大物"の証拠 破天荒さでAZ-1の右に出るクルマなし
ガルウイングドアが重い
さらにもうひとつネガティブなことがある。AZ-1の最大の特徴であるガルウイングドアだ。ガルウイングドアは見た目の派手さから採用されたのではなく、スケルトンモノコックフレームはサイドシルが高く幅も広かったため、乗降性を考慮した結果の産物だ。 コンセプトカー時にはドアはアルミ製だったが、コストがシビアな市販車は鋼板に変更したことでドア1枚で20kgを超えてしまった。重量物が重心より高い位置にあるというのは、スポーツカーにとっては非常に厳しい条件で、AZ-1のネガのひとつ。
走りへの評価は高くなかった
パワー感はないがバランスに優れた楽しいハンドリングというのがビートの走りの評価。FRらしくクルマをコントロールする楽しさを持っているというのがカプチーノの走りの評価。それに対しAZ-1の走りの評価はカート感覚で乗れる楽しさの反面、素人にとってはハンドリング、挙動が非常にシビアというものだった。 この評価に尾ひれ、背びれがついて、「AZ-1は危険なクルマ」というレッテルを張られることになるのだが、裏を返せば、素人に乗りこなせないクルマ、ということで腕自慢、マニアからは絶大な支持を受けて、そんな人は現在まで長きにわたり乗っている傾向が強い。よくも悪くも乗り手を選ぶクルマだ。だからこそ熱狂的なファンが存在する。
ネガを上げればキリがない
自動車雑誌『ベストカー』ではかつてAZ-1を実際に購入したオーナーを対象としてアンケートを実施。オーナーだからこそわかる欠点、不満点について、さまざまな意見が寄せられた。直進安定性が悪い、乗り心地が硬い、荷物を置くスペースがほぼない、シートがスライドしない、内装がチープ、車検証を入れるグローブボックスすらない、窓がほとんど開かない、夏にガラスルーフは暑すぎる、雨の日に室内がすぐ曇る、車高が低いので対向車のヘッドライトがすべてハイビームに感じる、などなど。まぁ、それでも好きな人にとってはたまらない、というのがAZ-1だ。