朝鮮人労働者の追悼碑、県が撤去した根拠は「後出し」だった? 議会も「全会一致」で採択したはずが…13年後に態度が一変
▽自民党の杉田水脈氏は「うそのモニュメント」 碑の撤去前には、アーティスト有志や労働組合などが県に対し、撤去中止を求める署名や要望書を群馬県に提出した。撤去工事開始の前日に現地で開かれた学習会では、集まった市民らが献花し、撤去を惜しんだ。朝鮮の太鼓「チャンゴ」の演奏を習っているという埼玉県行田市の女性会社員(38)は、目に涙を浮かべこう話した。「日本人としての追悼の意がなかったことになるようで悲しい。2歳の娘にもいつか見せたかった」 一方で、学習会には碑の存在に抗議する保守系とみられる人物十数人も押しかけ、警察官が警備に当たった。SNS上では「ルール違反だから仕方ない」と県に同調する意見もあった。 自民党の杉田水脈衆議院議員(比例中国)はX(旧ツイッター)で「うそのモニュメントは日本に必要ありません」などと投稿。「日本国内にある慰安婦や朝鮮半島出身労働者に関する碑や像もこれに続いてほしい」と書き込んだ。
守る会の藤井事務局長は「負の歴史事実を認めず、『うそ』として消し去ろうとしている人間が政権にいること自体が残念」と話す。 ▽苦情→説明変更の事例、各地に 問題は群馬県のみにとどまらない。長野市にある「松代大本営」の象山地下壕(ごう)入り口の看板。長野市は、地下壕を作る際に「朝鮮や日本の人が強制的に動員された」と説明していた。しかし2014年、強制的だったという見解と、必ずしも全てがそうではなかったとの見解を併記する形に変えた。長野市のウェブサイト上の説明も見解を併記する形になっている。 奈良県天理市では同じく2014年、飛行場の建設で「強制連行があった」とした説明板を市が撤去した。どちらのケースも、強制的動員という旨の説明について、行政に苦情が寄せられた。 政府見解としては先に説明したように「(朝鮮人労働者の)移入の経緯はさまざまであり、『強制連行された』とひとくくりに表現することは適切ではない」との答弁書を2021年4月に閣議決定している。