なぜ、美髪にヒジキ? 更年期世代が食べたほうが良い本当の理由と適量とは
更年期世代の悩みのひとつに、髪の健康が挙げられます。とくに空気が乾燥してくる今の時期は、パサつきやすく、細さやボリュームなどが気になることもあるかもしれません。昔から「ヒジキを食べると美しい黒髪になる」といわれますが、実際のところはどうなのでしょうか。ヒジキを更年期世代が食べるべき理由とは? 栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。 【画像】「これだけ選択肢があると楽しい」 1か月分の朝食リストがSNSで話題 ヒジキに梅干しごはんも ◇ ◇ ◇
ヒジキだけでは美髪にはならない
ヒジキなど海藻類が髪に良いと古くから言い伝えられているのは、海の中で揺らいで育つ様子が、髪の毛のように見えることが関係していたといわれています。現代の栄養学で考えても、ヒジキは髪の毛の健康をサポートするミネラルが豊富に含まれている食品です。 しかし、ヒジキ自体が直接的に髪に良いというわけではありません。髪を作る主成分のたんぱく質などが、ほぼ含まれていないからです。髪の健康を考えた食事を目指すのであれば、ヒジキだけに頼るのではなく、五大栄養素をさまざまな食品から摂取するバランスの良い食生活が大切になります。 とくに更年期世代は、女性ホルモンのバランスが崩れ、頭皮や髪の新陳代謝が低下しやすい傾向です。ヒジキなど海藻類が良いからと、それだけを食べ続ける偏った食生活をすると、髪がどんどん細く弱くなって抜け毛につながったり、新しい髪が生えにくくなったりすることもあります。 また、過剰摂取はヨウ素のとりすぎで甲状腺の働きを阻害する可能性があり、逆効果になることも。ヒジキ煮であれば小鉢程度を目安に、適量を日常の食卓に取り入れてみましょう。
便秘解消や骨の健康にも
ミネラル豊富で、美髪のイメージがあるヒジキですが、更年期世代が気になる骨の健康や便秘の解消にも役立ちます。栄養成分を具体的に説明すると、骨の健康に役立つカルシウムやマグネシウム、貧血予防の鉄、そして便秘解消が期待される食物繊維などが豊富に含まれているからです。産地や製法によって含有量が異なりますが、カルシウムや鉄を効率良くとるためには、次のポイントを心がけましょう。 ○ステンレス釜よりも鉄釜のヒジキを選ぶ 日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、ステンレス釜で煮たヒジキよりも、鉄釜を用いたヒジキの鉄の含有量は約9倍です。とくに貧血が気になる人は、鉄釜のものを選ぶと良いでしょう。 ○ビタミンDやビタミンKを含む食材と一緒に ビタミンDやビタミンKは、カルシウムの吸収を助けてくれるので骨の健康に役立ちます。ビタミンDを多く含む食品は、魚やシイタケなどキノコ類です。ツナやサバ缶、シイタケなどのキノコ類をヒジキの煮物の具材として使うのも良いでしょう。ビタミンKを多く含む代表は納豆です。付属のタレを使わずに、ヒジキの煮物を合わせるのもおすすめです。 ○たんぱく質やビタミンCが多い食材と一緒に たんぱく質やビタミンCには、ヒジキの鉄(非ヘム鉄)の吸収を促す働きがあります。非ヘム鉄は吸収されにくい特徴があるので、一緒に食べると良いでしょう。卵をはじめ、大豆や肉などたんぱく質が多いもの、小松菜などビタミンCを多く含む野菜と一緒に食べましょう。 ○甘味の調味料としてオリゴ糖を使う 腸内環境を整える効果があるオリゴ糖を調理で使うと、ヒジキの食物繊維と相乗効果が期待できます。オリゴ糖の甘さは砂糖の3分の1なので、砂糖と併用するのも良いでしょう。