「婚活がうまくいかない」悩みを深刻化させる、本人の隠れた欲求
転職したいけど踏み出せない、婚活がうまくいかないなど、世間との比較や思わぬアクシデントから生まれる悩みの数々。心理カウンセラーの根元裕幸さんは、著書『そのままのあなたが、絶対かわいい。 できない自分も好きになる30の「ほめ言葉」』にて、悩みには本人にとって大事なことが隠れていることが多いと語ります。悩みを通して得られる気づきとは?同書の中からご紹介します。 【図表】日本人は何に幸福を感じやすいのか ※本稿は、根本裕幸著『そのままのあなたが、絶対かわいい。 できない自分も好きになる30の「ほめ言葉」』(PHP研究所)より内容を一部抜粋・編集したものです。
悩みごとは、大事な物事のあらわれ
私たちはどうでもいいことで悩みません。だから何かで悩むということは、それが自分にとってとても 大事なものであることを教えてくれているのです。 例えばあなたが、会社を辞めたいなあ、転職したいなあ、と思っていたとします。でも、なかなかきっかけがなくて踏み切れず、そんな自分にモヤモヤしていたとしましょう。そんなとき上司に呼ばれて別室に行くと、自分がリストラの対象になっていることを知らされます。 一瞬ショックを受けると思いますが、同時に「あ!これはチャンスだ!」とも、思うのではないでしょうか? なんなら「渡りに舟ってこういうことか!」と膝を打ってしまうかもしれません。 一方、あなたは住宅ローンを組んでマイホームを買ったばかりだとしましょう。前から飼いたかった猫を2匹も迎え入れ、部屋のインテリアも最高に気に入ったもので揃えることができました。そんなとき上司に呼ばれて別室に行くと、自分がリストラの対象になっていることを知らされます。 さっきとは違って、大問題になると思いませんか?家のローンは? 猫は? せっかくお気に入りの家を手に入れたのに?ショックのあまり、目の前が真っ暗になってしまうかもしれません。 同じ「リストラの対象になっている」という話なのに、そのときの状況によって、受け止め方がまったく違うのが分かりますよね? あるときは「チャンス!」であり、またあるときは「ピンチ!」なのですから。 ローンで購入した家が大切であればあるほど、リストラの悩みは深まりますよね。大事なものだからこそ、悩むのです。つまり「悩み」というのは、私たちが自ら作り出しているもの。 誰のせいでもない、すべての悩みは自作自演なのです。 そうすると、あなたが今悩んでいることこそが、あなたが本当に大事にしたいものだと気づくはずです。とはいえ、この理論は一筋縄ではいかないものでもあります。 婚活がうまくいかなくて悩んでいるとしましょう。この悩みから、家族を持つことが自分にとって大事なんだ、という解釈もできますが果たしてそれだけでしょうか? 周りの人の目が気になる、親を安心させたい、友人や同期に追いつきたい、昔の男をぎゃふんと言わせたい、早く今の会社を辞めたい、のような悩みの理由も考えられるはずです。 そうするとあなたにとって大事なものは、周りの人からの評価であり、親であり、競争に勝つことであり、復讐であり、会社を辞めることなのかもしれないのです。 その大事なものがいいのか、悪いのかは置いといて、今抱えている悩みから自分が大事にしたいものに気づけると、その問題の本質がよりはっきり見えてきます。 「なんで婚活がうまくいかないんだろう?」という悩みから、「ああ、私は親のことを本当に大切に思っているんだな」と気づくことができれば、「もっと親孝行をしよう。こんど食事に誘ってみよう」などと思えるでしょう。 また、「同期や友人に負けてる感じがイヤだったのか。私って競争心が強いのかな?」という問題に気づければ、その競争心を手放すことが目標になるかもしれません。 さらに「ああ、あの男のこと、まだ許せてないんだな」と気づけたら、「まだ次の恋にいく準備ができていないのかもしれないから、もう一度あの男と向き合ってみよう」と新たなテーマが出てくるかもしれません。 この話は実際のカウンセリングを元にしているのですが、そうして自分の悩みから問題の本質が見えてくると、不思議と力が抜けるものでして、さらに実際に親孝行をしたり、競争心を手放したり、昔の男への気持ちを整理したりしていくうちに「そのうち素敵な男性が現れて結婚できるような気がしてきた」と婚活への気持ちそのものが変化することも珍しくないのです。 あなたの悩みは、あなたにとって大事なものを教えてくれます。それに真摯に向き合ってみると、状況は変わらずとも悩みが解消していくことはよくあるのです。