ベンチ1台400万円! 渋谷区113億円公園整備、本当に必要? 公共空間の商業化が浮かび上がらせる深刻問題とは
行政改革に求められる現実的アプローチ
行政が「新機軸」を性急に導入することのリスクは、過去の事例から見て取れる。例えば、2000年代初頭に全国の自治体で導入された 「目標管理制度」 が挙げられる。この制度は、民間企業の経営手法を取り入れた結果、多くの自治体で形骸化し、数値目標の追求に偏ることとなった。最終的に、多くの自治体ではこの制度が縮小または廃止された。 「稼げる公園」のアイデアも同様に、過去の事例と似たような問題を抱えている可能性がある。MIYASHITA PARKの商業化の問題や、THE TOKYO TOILETプロジェクトで見られた機能性の軽視など、渋谷区の新たな試みには限界が見えている。それにもかかわらず、評価がまだ確定していない新しい開発手法に対して、113億円もの巨額を投じることには慎重な姿勢が求められる。 最終的に、行政に求められているのは、目新しい「新機軸」ではなく、既存の公共サービスの維持・向上である。そのためには、過度な投資は避け、より効率的かつ持続可能な方法を検討する必要がある。
昼間たかし(ルポライター)