ベンチ1台400万円! 渋谷区113億円公園整備、本当に必要? 公共空間の商業化が浮かび上がらせる深刻問題とは
113億円投資の長期視点
玉川上水旧水路緑道の再整備計画については、 ・公共性の低下 ・将来的な商業化の懸念 を指摘する声がある。しかし、渋谷区はこれに対して異なる立場を示している。 区は「FARM(育てる・育む)」というコンセプトを掲げ、この再整備を単なる公園の改修ではなく、地域コミュニティの中心となる新たな空間の創出と位置づけている。事業費の113億円についても、次の50年、100年を見据えた投資としてその必要性を説明している。さらに、区は現状の公園における ・バリアフリーの不足 ・夜間の安全性 ・老朽化した設備 ・コミュニティ活動スペースの不足 を問題視し、これらの課題解決に向けた費用を必要な支出として理解を求めている。高額な特注品の使用についても、区の視点では必要不可欠なものであり、例えばテラゾーの使用は歩きやすさやデザイン性を考慮したものとされている。 渋谷区の立場からは、長期的な視点での投資が重要であり、高品質な整備を目指すためには民間資金も活用する方針だと説明している。区は「安物買いの銭失い」を避け、高価格であっても他の選択肢とは異なる優れたものを選ぶべきだとの考えを示している。
段階的アプローチで進化する再整備
玉川上水旧水路緑道の再整備に関する議論は、「変革」と「保全」のバランスをどう取るかに関わる問題だ。施設が40年を経ているため、更新は必要だが、それが必ずしも113億円もの投資をともなうべきかどうかは再考の余地がある。 重要なのは、慎重で段階的なアプローチだ。まずは、緊急を要する補修を行い、その効果を検証しつつ次のステップに進めるべきだ。例えば、400万円のベンチについては一度に15台設置するのではなく、数台を試験設置し、その結果を踏まえて次の行動を決定する方法が考えられる。また、テラゾー舗装も、一部区間で試験施工を行い、実際の使用感を確認した後、本格的な導入を検討することが有効だろう。 さらに、THE TOKYO TOILETプロジェクトから得られる教訓も多い。デザインに過度にこだわることが、維持管理の負担を増す可能性がある。特注品と既製品を適切に組み合わせ、地域住民の意見を反映させた実用的な整備を進めることが重要だ。 最後に、Park-PFI制度に過度に依存することなく、公共性を重視した運営方針を示すことが求められる。収益性よりも地域社会にとっての公共性を優先し、 「誰もが利用しやすい空間づくり」 を進めるべきだ。