【12・28KO-D無差別級戦インタビュー】クリス・ブルックスが突く「ササキは過去に囚われている」説
12・28両国国技館で佐々木大輔を相手にKO-D無差別級王座初防衛戦をおこなうクリス・ブルックス。これまで言葉による攻撃をさんざん浴びせられてきたが、プロレスに対し常にポジティブを求めているクリスにとって、ネガティブな要素と対峙するのはどういう立ち位置になるのか。決戦を前に、それを確認したかった。今回のインタビューは、ほぼ“ワンテーマ”である。(聞き手・鈴木健.txt) 【写真集】あの青木真也がギブアップ、青い目の挑戦者の「団体愛」がつかんだ勝利
ササキは主体性よりも相手に何を するかでやっているから言葉が軽い
――青木真也選手のKO-D無差別級王座へ挑戦するにあたり、ベルトを獲ったらこの選手とやりたい、こういうことをしたいというシミュレーションをしたと思われます。その中に佐々木大輔はいましたか。 クリス 正直なところ、まったく想定していなかったです。というのも彼はここ数年、このタイトルに挑戦しようともせずDAMNATION T.Aの連中と面白おかしくやっているようにしか見えなかったからね。このタイトルに限らず、なんらかの目的意識やそれに対するモチベーションを持ってやっているように映っていなかった。だからアオキさんに勝てたあと、あそこで出てくるなんて思っていなかったし、ましてや自分のやりたいリストにも入っていなかった。 ――そういう人間に出てこられて、一方的にタイトルを懸けてやれと言われるのはあまりいい心境ではないですよね。 クリス うーん、基本的には誰が挑戦したいと主張するのもいいと思っているよ。だから、ササキが出てきたことを不快に思うことはなかったけど、ササキらしいなと。 ――どういうことでしょう。 クリス 想定外の驚きもありつつ、予想しないところで人の迷惑も考えずに自分のやりたいようにやるのは、いかにもササキだなって。そこはむしろ驚かなかった。 ――プロレスは同じ価値観を持った者同士がポジティブなものを見いだすために闘う時もあれば、違う価値観をぶつけ合うものでもあります。プロレスにポジティブな形を求めるクリス選手としては、今回の佐々木選手のようにネガティブな感情をもとに交わることに関してはどう位置づけますか。 クリス ササキに対してはネガティブな感情以前に、何もないといった方が正しいな。彼の言動は何かの主義主張に基づいたものというより、とにかく他者に噛みついたり反発したりしているだけに見える。だからそれに向き合って、なんらかの感情を自分が抱く対象にもならないよ。 ――嫌っても、憎んでもいない? クリス そう見える? あるとするなら、何もないからつかみどころもなく、何に対して自分自身の気持ちを持っていけばいいのかがハッキリしないということぐらい。その分、これまでとは違うアプローチになるとは思うけど、要はこっちに対しいちいち噛みついてくるガキンチョを振り払うだけ。DDTへの愛をより大きくしていきたいと思っているのに、そういうものが感じられない相手とやって時間を奪われるのは生産性のないことだよ。今の彼から個人でも団体としてでも成長していこうという姿勢が見られていると思う? ――実際はどうなのかわかりませんが、それを体現しようという姿勢は見せていないですね。 クリス それはなぜかというと、主体性よりも相手に何をするかでやっているからだよ。でも、それがササキのやり方なんだろ? 今から主体性を持ってやろうといったところで変えるつもりなんてないだろうから、それはそれでいいよ。こっちが叩くことによって、自分が頑張ってやっていることが正しいんだということを証明するだけだから。 ――悪い言葉を投げつけられることで怒りは湧かないんですか。 クリス 彼が本気でそういうことを言ってくるなら腹が立つこともあるかもしれないけど、その時に噛みつきやすい相手に対しとりあえずアクションを示そうという点で言葉の軽さを感じる。ネガティブなことを言い、何を返しても条件反射のようにマイナスにしか受け取らない。僕はササキが放つ言葉のすべてが心の底から吐き出しているものには聞こえない。だから腹も立たないんだと思う。 ――言葉以外にもイルシオンの件でだまし討ちを食らった形ですよね。あれも…。 クリス あれはササキが糸を引いていたとしても、イルシオン個人との問題だよ。それに、怒りとまではいかず、ちょっとイラッとしたぐらいだったね。そもそも彼の方からSCHADENFREUDE Internationalに入りたいと言ってきて正直、力不足だと思ったから最初は断っていた。それでも、何度も何度も来たから入れてあげたら、気がついたらいなくなっていたというぐらいのものであって、そのイラッとした感情も試合で思いっきりジョン・ウーで吹っ飛ばして気が済んでいる。ただマサダはまだ怒っているから、今はイルシオンとマサダの問題であって、僕はイルシオンに対する許せないとかネガティブな思いは持っていない。それにササキはああ言っているけど、実際にはそこまでイルシオンに影響を及ぼしていないと思っている。 ――というと? クリス SCHADENに入りたいと言って僕と闘い、頭から血を流しながら最後は大号泣した。あれは、彼のリアルな感情だったと思う。それほどキャリアも積んでいない若い人間が、ササキに言われてこっちを騙すために演技でやったとは考えにくい。その前からDAMNATIONにいくつもりだったのか、あの試合のあとにやっぱりDAMNATIONにいこうと思ったのか、そこはわからないけれど、前者だったとしてもあの一瞬は偽りのない本当の気持ちだった。いずれにせよ、彼はこれからも進むべき道に迷いが生じることもあるだろう。もしかすると、やっぱりDAMNATIONは合わないという選択を自分の意思でするかもしれない。でも、僕はイルシオンの親ではないからね。彼自身が好きにして、その中で間違いを犯したと思ったら自分で修正していけばいい。彼の手を引っ張ってサポートしてあげるわけにはいかないから、やりたいようにやりなさいというところです。ただ、僕との試合で見せたあの本気の感情と比べたら今のDAMNATIONにいるイルシオンは無理して悪ぶっているようにしか見えないし、またそれは佐々木大輔の姿でもあるんだと思う。 ――どういうことでしょう。 クリス DAMNATIONとはそういうものだという過去の幻想に一番囚われているのが誰あろうササキだっていうことさ。見てみなよ、5年前とやっていることは変わっていないじゃないか。かつての仲間がいなくなったから、エンドウの代わりにKANONを入れて、イルシオンを巻き込んだのは、あれは“シマタニポジション”だよ。 ――マネジャー要員としていいように使われた島谷常寛選手のような。 クリス 過去の栄光にすがりたいのか、失ったものに未練があるのか、同じものを作るための道具として利用されているのが今の二人だと僕には映る。
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