かつてのスポーツウェア最大手、 Champion は「重荷」扱いから生まれ変われるのか
ヘインズの足を引っ張っていたチャンピオン
1919年に創業したチャンピオンは、かつてはスポーツウェアブランドの最大手のひとつだった。当初、ニッカーボッカーニッティングミルズ(Knickerbocker Knitting Mills)と称していた同社は、自身がフーディースウェットシャツとスポーツブラの発明者であると主張している。ビジネスインサイダー(Business Insider)が報じたところによると、1990年代にはヒップホップアーティストのあいだで特に人気を博し、ビースティ・ボーイズやシュプリームなどとのコラボレーションを展開してきた。1989年に食品会社のサラリー(Sara Lee)がチャンピオンを買収したのち、2006年にヘインズブランズの一部として分社化した。 しかし近年、チャンピオンの売上は低迷している。スポーツウェアブランドのナイキ(Nike)、アディダス(Adidas)、ルルレモン(Lululemon)などの企業が成長するにつれ、市場シェアを失いはじめた。そして2018年には、大手小売チェーンのターゲット(Target)と提携して生まれた人気ラインであるC9の生産を中止した。当時、ヘインズブランズはコストと支出の増加により、前四半期の利益が前年比で18%減少したと述べた。ターゲットの広報担当者はニュースチャンネルのCNNに、C9ラインの生産中止は店舗で販売する独占ブランドを刷新する「複数年にわたる広範な戦略」の一環だと語った。 それからの数年間、ヘインズブランズの需要は落ち込み、卸売業者は注文を減らした。同社は負債を積み上げ、2023年2月にはフリーキャッシュフローのすべてを負債の返済にあてた。昨年、ヘインズブランズは不振だったチャンピオンの業績計画を策定したが、そこには「在庫評価減5900万ドル(約93億円)」と「専門家の手数料、サプライチェーンの細分化、店舗閉鎖、退職金、その他の費用に関連する支出2900万ドル(約46億円)」が含まれていた。 チャンピオンを売却することでヘインズブランズはこれらの投資から解放されるが、同時に商品の面でも解放される。両社は提供する商品が異なっており、チャンピオンは主にランニングショーツ、レギンス、ジョガーを販売しているのに対し、ヘインズブランズは主にアンダーシャツ、アンダーウェアなどの肌着を販売している。ヘインズブランズのCEOは声明で、チャンピオンを売却したことでヘインズブランズは「さらに強い立場」からインナーウェアにフォーカスできると認めた。