超小型で高性能な「Mac mini」と超広角カメラ搭載の「iMac」――新モデルから見えるAppleの「デスクトップMac」戦略
SoCの設計も見直したM4/M4 Proチップ
このように、M4/M4 Proチップはスピードが速くなったのはもちろんだが、搭載する各コアのアーキテクチャにも更新がある。 まずCPUコアだが、Armアーキテクチャベースであることに変わりはないのだが、命令セットが「Arm v8」から「Arm v9」にアップデートされた。これにより、従来はAppleが独自実装していた機械学習関連の命令セットは、Arm v9に用意された命令セットに統一される。 GPUコアは、「A18 Proチップ」と同じ最新アーキテクチャとなった。このアーキテクチャはM3チップファミリーや「A17 Proチップ」で刷新されたものの強化版で、メッシュシェーダーやレイトレーシングアクセラレーターの搭載とDynamic Cachingへの対応はそのままに、処理スケジューラーの改善を行うことで、高いパフォーマンスをより効率的に発揮できる。 「M3 Proチップ」から少し位置付けの変わったM4 Proチップ Mac向けApple Siliconを少し振り返ると、ベースチップの強化版に当たる「Proチップ」において、第3世代の「M3 Proチップ」は先の2世代と比べると「性能重視」というよりも「電力効率重視」という方向に軌道修正していた。 一方で、新しいMac miniと同時に発表されたM4 Proチップは、少しだけ「性能重視」の方向へ“揺り戻し”が起こっている。軌道修正というよりも、M4ファミリーではアーキテクチャ面で「消費電力」や「熱」の問題がある程度緩和されたことから、積極的に性能を引き出す方向でバランス調整できた結果ということだと思う。 CPUコアは最大14基構成で、そのうちPコア(高性能コア)は最大10基となる。逆算すれば分かるが、Eコア(高効率コア)は4基固定だ。ちなみに、M3 ProチップではPコアとEコアが6基ずつ(Pコアは最大値)、M2 ProチップではPコアが最大6基、Eコアが4基という構成だった。 それぞれのチップでCPUコアの性能が異なるため、PコアとEコアのバランスが絶対性能の差を示すわけではないが、M4 Proチップは従来よりもPコアの比率が高いため、CPUをよく使うアプリでは大幅な性能向上が見込める。 GPUコアについては、M2 ProチップやM3 Proチップが最大19基構成だったのに対し、M4 Proチップでは最大20基構成となった。こちらも、わずかだが数を上乗せしている。 M2 Proチップと比べると設計が刷新されたこともあり、GPUに依存するアプリ(特にレイトレーシング処理を行うアプリ)では、レイトレーシングアクセラレーターの力もあって、大きなパフォーマンス向上が見込める。Dynamic Cachingに対応していることから、メモリの利用効率も高まるだろう。 加えて、M4 Proチップは性能向上に伴ってメモリインタフェースのチャネル数が増加しており、メモリ帯域も75%広がった。搭載できるメモリ容量も、先代のMac miniの2倍(最大32GB→最大64GB)となっている。 さらに、M4チップファミリーは「Neural Engine」(NPU:推論エンジン)の倍速動作がサポートされており、ピーク時のスループット(実効性能)は、M1チップファミリーの最大3倍、M2チップファミリーの最大2倍となっている。オンデバイスAIを活用するアプリも、より高速な動作を期待できる。
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