超小型で高性能な「Mac mini」と超広角カメラ搭載の「iMac」――新モデルから見えるAppleの「デスクトップMac」戦略
性能を向上しつつも小型化された「Mac mini」
iMacに続けて発表されたMac miniは、M2/M2 Proチップ搭載モデルから2年弱ぶりの刷新となる。ただし、今回は本体が大幅に小型化されている。 サイズ感に関しては、iPhoneを持っている人ならAR機能を用いて自分の机の上に置いてみると分かりやすいのだが、イメージ的には従来モデルよりもApple TVに近いサイズ感だ。具体的な寸法は約12.7(幅)×12.7(奥行き)×5(高さ)cmで、幅と奥行きは「Appple TV 4K」(9.8cm)の約1.3倍しかない。先代と比べると、設置面積は半分以下となっている。 このことは、ボディーに使うアルミニウム量の大幅削減に貢献している。さらに、このアルミニウムは50%がリサイクル素材で、生産に必要な電力を100%再生可能エネルギーとしている。Macとしては初の“カーボンニュートラル”を達成したことも特徴だ。 コンパクト化されてはいるが、接続ポート類は、むしろより充実している。 背面にはイーサネット(有線LAN)端子、HDMI出力端子、Thunderbolt(USB Type-C)端子×3が配置されている。そして前面には以前のモデルにはなかったUSB 10Gbps(USB 3.2 Gen 2) Type-C端子×2が配置され、背面にあったヘッドフォン端子が移設されている。その代わり、USB Standard-A端子はなくなったが、最近の周辺機器のトレンドを考えれば大きな問題にはならないだろう。 イーサネット端子は標準で1000BASE-T(1Gbps)対応となるが、CTOモデルでは1万5000円プラスすることで10GBASE-T(10Gbps)対応に変更できる。 Thunderbolt端子については、搭載するSoCによってスペックが変わる。M4チップモデルでは、最大40Gbpsの「Thunderbolt 4」準拠となる一方で、M4 Proチップを選ぶと「Thunderbolt 5」準拠となる。 Thunderbolt 5は最大80Gbpsでの双方向通信に対応しており、非対称通信モードであれば最大120Gbpsのスピードを出すこともできる(その代わり、反対方向の通信速度は最大40Gbpsに抑制される)。また、本規格ではDisplayPortの出力が「DisplayPort 2.1」規格となり、M4 Proチップ搭載モデルでは6K(5760×3240ピクセル)の映像を最大3画面出力できる(※1)。 より高い解像度のディスプレイを始めとして、より多くの周辺デバイスを接続できることは、このコンパクトさを考えると大きな魅力といえよう。 (※1)M4チップモデルの場合、Thunderbolt 4端子の映像出力はDisplayPort 1.4準拠で、最大で「6K画面×2+5K(5120×2880ピクセル)画面×1」の出力に対応する(ただし、HDMI出力端子を併用する場合は「5K(5120×2880ピクセル)画面×1」が「4K(3840×2160ピクセル)×1」となる) M4 Proチップに関する掘り下げは後で行うが、今回は2世代前のM2/M2 Proチップからのアップデートだけに性能や機能の変化は大きい。 CPUのピーク性能だけでも、M4チップは「M1チップ」に対して最大1.8倍、M2チップとの比較でも最大1.6倍となる。また同じようにGPU性能もM1チップに対して最大2.2倍、M2チップに対して最大1.4倍……なのだが、単純に速くなっただけではない。 アプリケーションの実行速度において、例えば「Microsoft Excel」のパフォーマンスはM2チップ比で最大1.6倍、ゲームでも「World of Warcraft: The War Within」ではM2チップ比で最大10.2倍高速になるという。 AI(人工知能)性能の改善も顕著で、音声文字起こしアプリ「MacWhisper」は、M2チップの最大10.1倍高速で動く。 M4 Proチップの場合、その性能向上はさらに顕著で、ExcelのパフォーマンスはM2 Proチップ比で最大1.5倍、DNAの構造解析アプリ「Oxford Nanopore MinKNOW」のベースコールのパフォーマンスは最大1.3倍、MacWhisperの音声文字起こしは最大1.4倍といった具合だ。元々パワフルだったM2 Proチップから、さらにパワーアップしている。
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