発達検査でHSC(人一倍敏感な子)と診断された娘…学校のサポートが不登校の原因になる理由
ただ話を聞いてほしい。専門職の方に伝えたいこと
良かれとおもってやったことが、対象の人物にとって「重くなる」現象は親に対するサポートも同じかもしれない。リコちゃんの3歳児健診でマキさんは、グレーと思うのならそう思って育てたらいいと言われ落ち込んだ。これに対し池添さんは「そんなことを言う臨床心理士さんばかりでは決してないけれど」と前置きしつつこう話した。 ――皆さん、何か言わなあかんと思ってアドバイスしてはる。少しでも役に立つことを言わなと考えてしまう。ところがそれが負担になることは多々あります。それは「荷物の上に、荷物を乗せる」ことになる。子どもも親も、からだに背負った重い荷物をどかしてほしい。一緒にしょって欲しい。だから、話を聴くだけでいいっていうケースは多い―― ここから先は、教員や心理士など、専門職の人々に伝えたい。 ――ただただ傾聴する。このスタンスを専門職の方は忘れがちなんよ。専門性が高ければ高いほど、専門家のアドバイスってやっぱり重いいうことを自覚せなあかんと思う―― 最近あった電話相談で、スクールカウンセラーに話を聞いてもらっているが「すごくしんどいんです」と言ってきた母親がいた。子どもとの愛着関係の問題を指摘されていた。母親は「私自身、何かアドバイスを待っているわけじゃないんです。私の話を聴いてほしいんです」と切実に訴えたという。 「ただし、これは専門職側も同じなんです。学校の先生ももちろんやし、お医者さんも、心理職など専門家自身も、ただただ聴いてほしいことがある。そういう時がある。みなさん悩んでる」(池添さん)。 ――悩んではる人はまず聴いてほしいねん。そもそも、周りにわかってもらえる人が少なすぎて、しんどくなってるわけやろ。だからひとりでもわかってくれたり、応援してくれる人がいたら多分頑張っていけるんちゃうかな。お母さんやお父さんも、専門職も―― 5月の終わりになってもリコちゃんは学校に行けなかった。マキさんはフリースクールに入れることを考え始めた。 ◇後編「『欲しがるものは全て与え、焦らず待つ』HSCと診断された不登校の娘が学校に行くまでを支えた親の信念」では、マキさんが池添さんのある言葉を胸に、考え行動したことをお伝えする。不登校だった娘・リコちゃんに起きた変化とは。
島沢 優子(ジャーナリスト)