大一番で1ゴール2アシストの広島MF東俊希、偉大な2人の背中に「僕もやんないとという気持ちにさせられた」
[12.1 J1第37節 広島 5-1 札幌 Eピース] 連敗が続けば逆転優勝の可能性が消える大一番で、サンフレッチェ広島MF東俊希が圧巻のパフォーマンスを見せた。「アオさん、カシくんのプレーが練習ですごく良く感じて、それを見て僕もやんないとという気持ちにさせられた。ついていかないといけないと思わせる人を見て、僕が次はああなりたいと感じた」。青山敏弘と柏好文。長年クラブを支えた偉大な2人の背中に触発され、自らがクラブを背負っていくという覚悟を示す1ゴール2アシストだった。 【動画】アウェー中国戦の裏で起きていた珍事…日本代表FWがSNS上の声に反応「わざと」 まずは0-0で迎えた前半8分、精密なアーリークロスでゴール前のFW加藤陸次樹を射止めた。相手GKを巧みにつり出した速度、軌道ともに完璧な一本。「決めてくれるムツくんもすごいし、あのタイミングで走ってくれる人はなかなかいないのでやりやすい」。そう加藤を立てたが、自身のキックにも「完璧でしたね」と頬をゆるめた。 さらに同点と追いつかれた直後の前半45+2分には、自身のゴールで突き放した。右サイドからのFKが直接ゴールに入る形となったが、味方が触ればアシストになっていたであろう、こちらも完璧な軌道。「キーパーは身長もあまり高くないということで、こっちも身長が高い選手がいるので速いボールというよりは高いボールで」という狙いも光ったゴールだった。 最後は後半34分、今季なかなか決まっていなかったCKからFWピエロス・ソティリウのヘディングシュートもアシスト。「キックはフィーリング的にも良かったので自信を持って蹴り込めた。CKも結構あったので1本は決めると思っていたし、いつもこういうフィーリングで蹴れたら」。この日の2アシストにより、J1ランキングでも首位と2つ差の3位タイに並んだ。 今季はユースの先輩でもあるMF野津田岳人、MF川村拓夢が前半戦でチームを離れ、夏場には24歳にして「これまで広島を背負ってきた人たちが抜けて、次は僕が背負っていかないといけないという責任感が生まれた」と語っていた東。実際にその言葉どおり、後半戦はACL2との連戦が続く中でもJ1での全試合出場を続け、チームを優勝争いに導いてきた。 また終盤戦には青山の現役引退、柏の退団が決定。中心選手としての自覚はさらに深まった。「ベテランの選手が抜けると練習の雰囲気も変わってくるし、それでチームが緩んでしまうこともありがち。今まではそういう選手に頼っていた部分もあったけど、次は若い選手が責任を持っていかないと強いチームを作っていけない。まずは試合に出ている自分からそういう雰囲気、責任感をプレーでしっかり見せていきたい」。 1週間後に控える最終節・G大阪戦はそうした覚悟を見せるべき絶好の機会。東自身、13試合ぶりのアシストがついたこの一戦にも「こういう絶対に勝たないといけない試合で力を出せるということは毎試合出せるはず。もっと毎試合できるように良い準備をしたい」と満足はしておらず、継続することに意識を向けている。 G大阪戦に勝利しても優勝の行方は首位・神戸次第だが、“追う側”の強さ、“追われる側”の難しさは11月の3連敗で感じたばかり。「3連敗した時は正直、硬い感じで入ってしまっていたけど、今日のように勝たないといけないということになるとみんな良いプレーができる。今日みたいな気持ちで試合に臨めたら、良い結果になる。あとは神のみぞ知る、ということで頑張りたいです」。まずは自身に矢印を向け、最高の結果を掴み取りにいくつもりだ。