〝復活劇〟の背景に何が、X上で告示前から広がった「印象」と「誤情報」 斎藤氏のピンチ、擁護のきっかけに?ポスト解析で実態が垣間見えた【データ・インサイト】
稲村氏関連のポストで多く使われたワードも紹介したい。稲村氏の出馬意向が広く報じられた9月29日から11月17日の間、知事選と併せて稲村氏に触れた投稿を調べた。全体で約81万件あったが、11月1日まで1日当たり数百~9000件台にとどまっていた。 多用された言葉には支持や応援にまつわるものもあったが、それ以上に目についたのは誤情報に関する語句だ。10月28日までは「外国人参政権」が10月10日に上位に挙がった程度だったが、告示2日前の29日以降は「極左」などと共にほぼ連日登場。稲村氏のネガティブキャンペーンに使われたとみられる言葉の使用頻度が上位に来なかったのは11月12、14、17日の3日間だけだった。 稲村氏は選挙期間中、誤情報をホームページで否定。11月9日付で「外国人参政権を進めません」などの文章を動画と共に掲載したが、解消されなかったもようだ。 ▽「レッテル」が告示時点で定着?自民党総裁選や衆院選の影響指摘も
X分析からは、斎藤氏擁護の声は同氏が追い込まれた時期から広まり、稲村氏への誤情報拡散は告示直前から本格化した推移がうかがえる。この結果を、法政大大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)は「告示前から候補者を巡る印象付けや、レッテル張りがSNS上で広がっていたのではないか」と見る。 白鳥教授は知事選前にあった国政の出来事にも着目する。9月27日に自民党総裁選が行われ、10月1日に第1次石破茂内閣が発足。9日の衆院解散後、27日に衆院選が投開票され与党が大敗した。兵庫県知事選の告示は、その4日後の10月31日だ。 こうした時系列から、白鳥教授は「知事選告示直前まで報道や多くのSNS利用者、有権者の目は主に国政を向いていた」と分析し、こう語る。「兵庫県知事選への関心が高まり、多くの人が情報を見始めた頃には、知事選や候補者を巡る印象が方向付けられる環境がSNS上にかなりの程度で作られていたと推測される」