〝復活劇〟の背景に何が、X上で告示前から広がった「印象」と「誤情報」 斎藤氏のピンチ、擁護のきっかけに?ポスト解析で実態が垣間見えた【データ・インサイト】
一方で政策関連の用語は低調だった。斎藤氏が知事時代の実績として訴えた「65歳以上の県職員OBの天下り廃止」を指すとみられる「天下り」が2回登場するなどにとどまった。X上の関心は候補者の「印象論」に偏っていたように見える。 ユーチューブ動画を引用する際に使われる「@YouTube」も頻出しており、Xが動画の拡散を促したことがうかがえる。 ▽辞職要求表明されると「がんばれ」が目立つように 次に斎藤氏に関するポストを見ていく。県議会の調査特別委員会(百条委員会)で県職員の証人尋問が始まった8月23日から、知事選投開票日の11月17日までを調査。失職前も含むため知事選に触れていない投稿も取得した。全部で計約729万件に上り、1日当たり約1万件を解析した。 その結果、8月23日~9月9日の上位100番以内は「パワハラ」など批判的とみられる言葉が多かったが、9月10日に「#斎藤知事がんばれ」が登場。その後は同種の語句が連日上位に入り、パワハラ疑惑に関する単語よりも目立つようになった。
9月10日は自民党など兵庫県議会の複数会派が、無所属議員と共同で12日に知事の辞職要求を行うと発表した日だ。日本維新の会はすでに9日に申し入れていたため、全県議が斎藤氏に辞職を迫ることにつながる。10日の発表で斎藤氏は窮地に立たされたのだ。 だが、辞職要求された12日以降は「マスコミ」や「デマ」といったワードが上位に入るようになった。斎藤氏のピンチは疑惑自体を疑う声が広まる契機となったのかもしれない。 なお、斎藤氏を巡っては「広報全般を任された」とするPR会社経営者が斎藤氏と共に公選法違反容疑で告発されるなど、混乱が生じている。この経営者がネットに掲載した記事には、10月7日に斎藤氏の応援アカウントをXに開設し「#さいとう元知事がんばれ」のフレーズを広めた旨が記載されている。確かに10月7日以降、使用ワードの上位に連日陣取っていた。 ▽告示2日前から頻出した「外国人参政権」、稲村氏否定も収まらず